米金利で米ドルの値動きの5割を説明できるため、投資を考えるにあたって米金利を無視するのは得策ではない。特に、10年近くにわたる低金利時代が「金融から財政へ」の流れにより終わりを迎えており、米国を中心とする各国の金利は今後は資産価格を考える上でより主役になると思われる。

 金利とは一義的に国債の利回りである。一般的な国債はクーポンが固定なので、売られて価格が下落すると安く買える分利回りが上昇、すなわち金利が上昇する。逆に国債が買われて値上がりすると金利は低下する。1日(日本では死語になったオーバーナイト)から数十年までの、様々な年限の金利が金利カーブを形成しているが、カーブの動きを無視してとにかく金利全体の上げ下げを表わすための代表的な指標を探すなら、新聞にも載る「長期金利」と呼ばれる10年の国債金利である。また一般的に政策金利によって金利が左右されるのは2年先までなので、政策金利に対する期待を観測するために2年金利も意味がある。他の年限は専門家以外にはあまり関係がない。

 先進国の国債金利(名目金利)は、実質金利+期待インフレ率で表される(新興国ならこの式の後ろにデフォルトリスクプレミアムが加わる)。高成長や高インフレが予想されるなら値上がりしそうな資産が増えるため、固定クーポンの国債よりも他に投資したがる人が増え、金利は上昇するわけである。この式は恒等式であり、期待インフレ率は計算値である。

 一般的に金利が上昇すると株式などの資産価格は下落しやすいと考えられている。それが近年、利上げを控えた米国の株式に慎重な投資家が多かった理由の一つである。企業の資金調達コストが上がる、国債との比較で株式の要求利回りが上がる、また株価の理論的なプライシング方法であるDCF法でも将来の様々なキャッシュフローを資本コストでディスカウントして和を取ったものを企業価値としているため、金利が上昇して分母が大きくなると理論的な企業価値は低下する。より正確に言うと、他が変わらないまま金利が上昇した場合は分母のみが大きくなるが、インフレに由来する金利上昇ならキャッシュフローの方も膨らむと思われるので分母、分子共に大きくなり、特に株価下落要因にはならない。実際、米国の長期金利と株価の間には目立った逆相関は見られない。

USGG10 SPX.png

直近5年間の米国10年金利(オレンジ)とS&P 500(青)

この記事は投資行動を推奨するものではありません。



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