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 図は中国企業(金融除く)の負債の対GDP比率である。本ブログでもデレバレッジという言葉が何度も出てきた。鄧小平時代が改革・開放、江沢民時代は資本主義化とWTO加盟、胡錦濤時代は財政出動/インフラ建設がそれぞれ特徴になるとすれば、現政権の目玉はデレバレッジになる、というくらいデレバレッジ運動は中国経済のメインテーマである。デレバレッジとは、企業の過剰債務と過剰生産力は維持不可能なので、金融や政策面での引締めによって債務を削減していくというものだ。チャイナショック後、2015年冬から2年間かけてそれなりに企業負債が減ったものの、2018年の貿易戦争騒ぎで一気に半分も揺り戻してしまった。

 非常に雑な言い方をすればリーマンショック後の財政出動以来、平穏に成長してきた中国経済において、現政権は金利だったり住宅だったり理財商品だったり鉄鋼生産高だったり、様々な分野を思い付きのように引き締めてきた。ただでさえ共産党幹部でもある国有企業の幹部が政治に追われて設備投資どころではなかったところで、何度も平地に乱を起こしてきたのである。そしてクラッシュ寸前まで行ってから底割れ防止のところで慌ててインフラ投資をぶっ込む。その繰り返しであった。

デレバレッジ運動の効果は限定的であった

 結局今もレバレッジが高止まりしたまま平然と経済が回っていることを考えると、バブルが存在しなかった中国経済において果たして企業負債を無理やり削減する必要があったかどうかは疑問である。また、実際デレバレッジ運動は海外勢を一喜一憂させてきただけで、効果は限定的であった。ローンを借りて住宅を買う人民と同じで、企業は引締めに一々びびってはならず、最も苦しい時でもレバレッジや生産力を落としてはならない。どうせ待っていれば緩められるからだ。日米のバブルの潰し方を勉強してきたから小刻みにストレスをかけているのかもしれないが、市場参加者も学習するので過剰債務をマイルドにコントロールするのは不可能なのかもしれない。

デレバレッジした分野

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    2014年から2017年にかけて、業種ごとのデレバレッジ進捗状況を見ると、元々負債が重い業種(左)ほどレバレッジが変わっておらず、負債が軽い業種(右)ほどレバレッジの下がり幅が大きい。レバレッジが下がっていない代表が不動産とインフラであり、下がった代表が生活必需品とヘルスケアである。つまり、このデレバレッジ劇は主に消費財を作る民営企業を圧迫したのである。

米ドル建て債務の拡大を招いたデレバレッジ

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 デレバレッジのもう一つの悪影響は企業の米ドル建て債務の増加である。2017年の金融引締めで企業が人民元でお金を借りづらくなったため、(一度はチャイナショックで為替リスクに戦慄したであろう)多くの企業は再びドル建て社債発行に走り、為替リスクを背負うことになった。そしてこの拡大が止まらないドル建て債務は中国の金融政策の自由度を奪っている。

 そして結局、貿易戦争による経済底割れ警戒と金融緩和でデレバレッジは後回しになった。レバレッジがすぐに戻るということはまだ中国企業にアニマルスピリットが残っている良い兆候である。本当に底割れするなら金融緩和も意味がなくなり勝手にデレバレッジが進行する。もっともデレバレッジ運動が欠点ばかりだったと主張するのも極論である。中国のPPIが底堅いのは供給力がある程度削減されたからだろう。北京オリンピックの頃から北京の大気汚染が話題になっていたが、2018年になって北京でも青空が見られるようになったそうだ。

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