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 8月に急落劇を演じ、多くの本邦投資家の肝を冷やしたトルコリラの下落が一服している。2016年の反大統領クーデターを支援したという罪で米国人牧師を拘束して米国との関係が悪化して経済制裁を受け、また通貨安インフレが亢進、更にエルドアン大統領がインフレ退治に動こうとする中銀の利上げを批判・牽制したりと、一時期は救いようがなかったトルコリラだが、先週にはブランソン牧師を「有罪だが長い拘束期間で既に刑期を終えた」という名目で釈放し、懸念材料が減ってきている。
 
 本ブログは8月初旬のトルコリラのクラッシュ以来、その影響力は限定的としてきた。8月に欧州銀行の対トルコエクスポージャーが話題になった時は「リスクが見えていなかった参加者は一回反省のために振り落とされることになったが、ここから本格的に欧州銀が連鎖的に金融危機を起こすとは考えていない。またトルコリラ金融危機そのものも、米国人牧師を一人釈放して利上げすれば終わる話に見える。トルコが急に反米国家になったようにも見えるが、所詮はNATOの内輪もめである。」と記した。その後トルコがMoody's, S&Pの双方から格下げされた時も「毒を食らわば皿まで」と、そのインパクトを否定した。

 元々トルコの景気は悪くないので、粛々とインフレに対応すればトルコリラはただの高金利通貨に戻る。先月トルコ中銀が6.25%も利上げして政策金利を24%まで引き上げたため、中銀の独立性への疑問も解消されつつある。そもそもトランプ大統領も同じことをFedに対して言っているため、別にエルドアン大統領一人がおかしいわけではない。となると、あえてここからトルコリラをぶん投げる理由はあるだろうか。高金利は将来の下落に対するリスクプレミアムでしかないとは言っても、完全に将来の下落を織り込んでプライシングされているわけではない。クラッシュを見て後出しで「高金利通貨は将来下落するから投資するのは危険」と偉そうに言う人でも、トルコリラの為替レートがこの先1年間で現水準から24%以上下落すると本当に断言できるだろうか。できないなら他の市場参加者もできない。

 トルコリラ・円の日足チャートは17円前半を右肩とするヘッドアンドショルダーズを作っている。落ち続けている間にナイフを拾うのは危険であったが、既にそのフェーズは終わったと見ている。もちろん本邦の個人投資家を中心にしこり玉はそれなりにあるはずなので戻りは一直線でないだろうが、押したところは買っても良い気がする。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。



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