中国共産党トップが来年の経済運営の基本方針を議論する「中央経済工作会議」において、減税規模の拡大など「積極的な財政政策」、更に「緩和的な金融政策」の継続を決定したそうだ。工作会議の決定は来年度の予算案などに反映される。官製メディアが発表した声明文は難しい用語ばかりの割りにはふわっとしたものだが、市場関係者が注目しそうなポイントだけ並べてみると以下のようになる。

・外部環境が厳しく、経済環境は下向き圧力が強いことを認める。
・積極的な財政政策と穏健な金融政策の継続。時には微調整を加えて総需要を安定化させる。
財政政策は更に効果的に力を入れなければならない。更に大規模な減税を導入し、地方専項債(特別債)の発行規模を大幅に増やす。
・デレバレッジの基本的な思考回路は堅持する。
・外資企業の合法的な権益、特に知的財産権を保護する。アルゼンチン米中首脳会談の合意を実行に移し、米中貿易協商を推進する。

 本当に大事なのは「減税と地方専項債の拡大」だけだと思う。今の財政政策も口では積極的と言っているが、肝心な財政赤字目標が削減されているので、人民銀行関係者が喝破したように「財政赤字の拡大もないのに積極的な財政政策を言い張るのは詐欺である」。従ってただの積極的な財政政策の継続ではノーヘッドラインであり、財政赤字を補完する地方専項債の拡大があってはじめて本当に積極的な財政政策と言えるだろう。減税については個人所得税は2018年に大幅に切り下げられたが、次は法人税引き下げが来るのだろうか。インフラ整備、公共工事はほとんど登場しなかった。

 金融政策は概ね現状維持だろう。「微調整で総需要を安定させる」とはあるが、「総需要を増加させる」とまでは言っていないため、大規模な金融緩和を織り込めるような内容ではない。一般的に人民元相場が制約となるので、金融緩和の自由度は高くないと思われているが、それを補強する内容であった。諸悪の根源であるデレバレッジについては2018年の大失敗を経て形骸化するというのが大方な見方だが、「基本的な思考回路」は残ったようだ。もっとも深読みすると運用の厳しさは後退するのだろうか。財政拡大は政府負債の拡大なので、デレバレッジの哲学は破綻といかなくても変質している。

 知的財産についてはあれだけ長い文章なのでどこかで触れるに決まっているが、米中首脳会談の合意の実行を真面目に盛り込んだのは特徴的と言えなくもない。
SSEC SPX
HSCEI SPX
 中国の財政拡張は当然グローバル株式市場にとってグッドニュースである。今は米株バブルの崩壊の方にスポットが当てられているので目立ってないが、上海株指数、及び香港上場のH株指数のS&P 500対比のアウトパフォームは静かに進んでいる。特に関税と違ってファーウェイCFO監禁事件などは米株の崩壊を加速させた割りには中国株のアンダーパフォームを招いていない。

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