ssec
 月曜に暴騰で話題を攫った上海株は一旦の休憩を経て、MSCIのA株組込み比率引上げのニュースをも手掛かりに3000ポイントへのチャレンジを根気よく続けている。暴騰そのものは続かなかったものの、週後半にかけて米株、香港株、H株が白けた雰囲気を醸し出す中でも上海株だけは堅調だった。本ブログが「とはいえ上海株バブルはなさそう」で示した足元の需給構造、

 「2015年のバブル崩壊から強制ロックアップを掛けられてきた実業家大株主(約5割)は隙あらば売り抜けようとするだろう。海外フロー(約2%)についてはMSCIのA株のインデックス組込みにより積立インデクサーからの資金流入が続きそう。個人投資家(約2割)はまだ昨年の記憶を引きずっていると思われる」 

をBloombergの記事「Watch China Inc.’s Insider Selling」もなぞっている(右往左往するだけの個人投資家は無視されてしまったようだ)。
Banxia
 奇しくも筆者が引用した「半夏基金 (Banxia Fund)」のセクター別中国株保有状況をBloomberg記事も参考にしてまとめ直している。何れにしても、本ブログが「実業家大株主」と表現したが、「Insiders: founders, management and parent holding companies」が5割を超えるシェアを保有しており、彼らの動きがキーとなる。MSCIのA株組込みによる買いフローに対して、この大株主からの売りが立ちはだかっているという。
 
 Bloomberg記事も触れたように規制当局(China’s securities watchdog)はチャイナショックの後に株価対策のために大株主の株式売却を制限してきた。Bloombergが引用した記事によると「株式売却は90日間につき時価総額の2%ずつしか売却できない」とされている。単純計算で50%の大株主が持分を全て売却するのに6年3ヶ月かかる。途中で手元流動性が必要になったら売れない分の株式を担保に融資を引っ張ってくる必要があり、これがまた2019年10月にマージンコール騒ぎになった。中にはどうせ売れないならと確信犯的に担保に出して証券会社に引き取らせようとする経営者もいたことだろう。いずれにしてもこのロックアップにより3年経った今でも「実業家大株主」による売り圧力が残っているということになる。
Feb
 中国株の時価総額を6.4兆ドル≒43兆元程度とすると、実業家大株主全員が全力で規制いっぱいのペースで売るなら毎月1400億元ほどの圧力となる。もちろん、オーナー全員が廃業を考えているわけではないし、(政府の思惑通りに)途中で保有を続けようと考えを改める人もいるだろう。実際、2月の3週間で大株主は指数の上昇に対して44億元の売越しをぶつけたという。2月中に同じペースの売越しが続いたとして、おおよそ大株主の25人に1人が全力でぶん投げたことになる。
 
 一方2019年に入ってから海外からHong Kong’s Stock Connectを通じて入った買いは1200億元であったという。大株主が全員売り向かっても買えるペースである。木曜にMSCIが発表したA株組入れ比率引上げによる海外インデクサーからのインフローは5月からの6ヶ月で600億元に達する。MSCIとFTSEの双方の組入れ拡大で全部で125億ドル(840億元)という計算もある。これだけで2月の「大株主の売り実績」の2倍のペースに当たる。もちろんBloomberg記事が言うようにマネージャーが全員MSCIベンチマークの操り人形というわけではない。しかしヘッジファンドはともかく、ベンチマークを持っているロングオンリーのファンドが(ライバル社のインフローが控えているのが見えるなかで)あえて中国株非保有で挑むのは大変勇気がいることだ
AH Premium
 というわけで算数的には上海株は引続き需要が優勢となっている。MSCIの話題はA株特有なので、A株はH株対比で急速に割高化している。しかし個人的にはどんどん割高な方を追い掛けるのは勇気がいると思う。前回の記事の繰り返しとなるが、壮大なバブルになりそうなら中国政府にはいくらでも潰す手段がある。例の売却規制を緩めるだけで無限に近い売り玉が降ってくるだろう。バブルと言えないのは2018年と似たようなS&P 500との相対水準までというところだろうか。
SPX SSEC

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。



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