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 1月に先陣を切って預金準備率引下げ(RRR Cut)をキメた中国当局だが、その後は景況感の反発もあって緩和が続いていない。むしろここに至って2019年に入ってから財政拡張はともかく、金融緩和などなかったとする論調が出ている。その心は、RRR Cutで市中に放出された資金(1.5兆元)は、MLFの減額やOMOのスキップで回収されていたというのである。上図は中国人民銀行(PBOC)のネット資金放出の時系列推移であり、下図は2019年1四半期の要因ごとの市中資金増減である。様々なツールがあって紛らわしいが、資金コスト的に「ありがたいのはRRR Cut > OMO > MLF」とだけ覚えておけば十分だろう。

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 中国の実質的なインターバンク金利である7日レポ金利(R007)は、常設貸出ファシリティ(SLF, PBOCから各金融機関が借入れできる金利)と7日リバースレポ金利に挟まれたコリドーの中で推移してきた。非常に大雑把に言って、キャップのSLFが中小金融機関がPBOCから調達できる金利なら、フロアの7日リバースレポ金利はメガバンクがPBOCから調達できる金利である。そして7日レポ金利(R007)はその間にあって中小金融機関がメガバンクからインターバンク調達する時の金利である。これが2017年のような過熱期、引締め期ならR007はSLFに近付くし、2018年後半のような緩和期ならR007は7日リバースレポ金利に近付く。2019年1月のRRR Cutによりインターバンクは金余りになったが、それが社会融資総額の増加など使い道が増えてくるとR007はフロアから離れ始めている。そこで4/17のMLF満期を機にMLFがRRR Cutによって代替される(ありがたい)噂もあったが、本ブログが一蹴したように4/17を前にRRR Cutは行われなかった
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 より単純に中国の10年国債金利を見てみると、4月に30bpものラリーを見せている。これは景況感の回復だけでなく、ステルス引締めによるインターバンク間の金余り解消も寄与しているだろう。金利が上昇すれば株式指数はある程度神経質にならざるを得ない。

 中国共産党政治局の楽観的な景気認識もこの金融緩和のフェードアウトと合致している。また会合で習近平総書記が大好きなフレーズである「住宅は住むためのものであり、投機のためのものではない」が再登場したらしく、それが不動産引締めを連想させ本日の上海株の調整にも繋がったようだが、このフレーズ自体は少なくとも2016年から確認されている。市場は調整の材料を欲したのだろうか。本ブログは2月から中国当局は上海株バブルを望んでいないと決めつけ、4月のRRR Cutもないと予想を立ててきたが、結局ここまで調整らしい調整もなかった。ファンダメンタルズから調整のタイミングを当てるのは難しい。

 なお、量的な引締めがあっても、クレジットパルス(社会融資総額とM1)が前向きであり、更に財政拡張が控えている以上、中国株の調整があっても押し目で終わるのではないか。2018年後半の金融緩和が株価下支えに全く効かなかったように、もとより役に立たなかった金融緩和がなくなったところで本格的な転換局面のきっかけにはなりづらい。

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