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 前回の記事で取り上げていた棚改(棚戸区改造、バラック密集地改造)計画のクールダウンだが、2019年分は直近数年の年600万世帯→460万世帯に減速と予想していたのを、更に年285万世帯に下方修正せねばならなかったようだ(上図)。ソースは「財政部が提示した数字によると」だそうだ。ただ、前回の記事でも取り上げた「2018年〜2020年の1500万世帯」という計画を取り下げたという話は聞かないので、それとの整合性には疑問が残る。もし両方が正ならば2020年には再び600万世帯を建てることになるが、ここで無駄な数字の上下を作る意味があるだろうか。それともそのまま1500万世帯の目標をフェードアウトさせるつもりなのか。

 下図は省ごとの目標の前年比である。福建省など少数の省を除いて壊滅的である。Tier3, Tier4都市の不動産バブル継続はこれでかなり期待薄というか不可能に近くなったと思う。一方、前回の記事でも取り上げたようにTier1, Tier2都市は減税による家計の余力回復、購買禁止令や人口増加のための戸籍制度の緩和により下支えされる可能性が高いが、景況感に影響を与える家具電機内装など波及効果ではTier3, Tier4都市の方が厚いのではないかとも思えてくる。
 
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 次に金融政策。4/22の記事で取り上げたように4/17に期待されていた預金準備率引下げ(RRR Cut)はなかった。4/17に満期を迎えた3665億元のMLF(中期貸出制度)はRRR Cutによって代替されることもなく、むしろ同額ロールもさせてもらえず、1600億元のリバースレポによる資金供給しか出てこなかった。4/24にそれも満期を迎えるとTMLF(年末に創設された新しい中小企業貸出を条件とする中期貸出制度、targeted medium-term loans )2674億元によってロールされた。金融引締めへの方向転換を懸念する市場の声に対してPBOD関係者は記者会見で「もとより金融緩和は存在しなかったのだから、今が引締めというのも的外れである」とにべもない。

 ステルス金融引締めに根拠があるとすれば、1-3月期の諸指標が堅調だったこと、及びCPIも堅調であることだろうか。3月のCPI伸び率は2.3%と先月までの低下モメンタムを一掃。昨年に流行した豚コレラの影響と思われるが豚肉の値上がり(+5.1%)が寄与(+0.12%)したという。食品・エネルギーを除いたコアCPIは安定している。
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 中国のCPIバスケットにおける豚肉のウェイトは年々下がりつつあるが、それでも先ほどの記事から逆算する限り2.4%程度はあるようだ。寒くなって以来豚コレラ拡大のヘッドラインは見ないが、これから暑い季節に差し掛かる。また新たに豚の処分がなくてもこれだけショックがあると養豚業への投資が低迷する可能性が高く、古典的な豚サイクルが再現される可能性も残る。実際の豚肉の消費量も大きくCPIのウェイトは適正水準に近いため、その場合は更なる金融引締めもあるかもしれない。
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 図は世界の豚の生産量における各国のシェアと中国の輸入先。主に欧州から輸入しているように見えるが、中国と欧州の生産量の差を見ると、もし中国国内で大きな生産調整があった場合、欧州からの輸入ではとても埋められなそうだ。
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 また景況感について。まだ4月は終わっていないが、暫定的な6大発電企業の石炭消費量の着地予測も出ている。3月は前年比プラスまで浮上したが4月は再び減速している。しばらくは中国発のポジティブなヘッドラインがあまりなさそうである。

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