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 中国の4月CPIは2.5%と大きく伸びている。牽引しているのは食品である。本ブログは散発的にCPIで大きな存在感を示す「豚肉」の存在を取り上げてきた。昨年豚コレラが始まった時から豚サイクルを取り上げ(なおその時の結論は「CPIは高めの安定、中国金利が下落から安定に転じ、QE祭りが盛り上がらない代わりに人民元の下落も一段落する」だった)、豚コレラが下火となる冬が終わり春が始まったところで再び豚コレラからの豚肉価格上昇のリスクを取り上げている。案の定、4月分のCPIは食品に引きずられて上昇した。

 
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 これはネットに出回っていた「中国CPI・豚肉の部」(白)とCPI(オレンジ)の対比である。豚サイクルで苦労していた頃は双方共にもっとボラタイルであったが、2010年に入ると双方共に安定してきた。図では豚肉CPI(左軸)は概ねCPI(右軸)の12倍であるため、豚肉ウェイトがおよそ8.3%を占めているとするとCPIの大きな変動をほぼ豚肉だけで説明できたが、近年豚肉のCPIウェイトは年々低下しており、足元では2.4%程度と推測されている。ただそれでも両者のトレンドは少なからず相似を見せている。
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 昨年の記事で取り上げたように「中国政府が豚養殖業の大企業への集中を誘導してきた」「基本的に豚肉価格は大資本パワーで多少のショックへの耐性を持っているように見える」という構図が豚肉価格安定化の背景である。図の青色は出荷頭数が500頭以下の事業者のシェア、赤が500 -1万頭のシェア、緑は1万頭以上の大企業のシェアである。キャパが弱い零細養殖業者のシェアは減りつつある。
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 このまま夏にかけて豚コレラが再び流行り出すと豚肉の供給が更に減るためリスクシナリオとなる。特に昨年からの長い豚コレラ騒ぎで、豚の養殖頭数が急速に減少している。図の青線が豚の養殖頭数であり、水色は繁殖できる雌豚の頭数である。かつての豚サイクルは、価格上昇を見て養殖ラッシュが起こり、しかし価格上昇局面には間に合わず1年後に子豚が育って出荷ラッシュが起きて暴落、廃業ラッシュというものであったが、今回は更に、価格上昇が起きても養殖拡大に投資する動きが非常に鈍いようだ。豚肉の高騰はそれなりに続く可能性がある。
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 一方で、CPIの伸びそのものは過去対比ではまだ正常域内である。豚肉だけでなく中国CPIには野菜などのウェイトもそれなりに高いため、CPIのMoM変化には明確な季節性が見られる。図の赤が2019年であり、4月時点ではCPI MoMはまだ季節性の範囲内の変動となっている。

 理論的にはコストプッシュインフレにおいては、家計は当該セクター以外の消費を切り詰めて対応すると思われるため他の品目がバーターで値下がりしやすく、家計所得(総予算)が増えない限り一般物価は上がりづらい。豚肉価格の更なる高騰→CPIの高止まり→金融引締めに追い込まれることはリスクシナリオの一つであるが、今のところまだ現実化していない。なお忘れられがちだが中国人民銀行のインフレ誘導目標は先進国より高い3%であるためまだまだ余裕がある。とりあえずは豚肉価格に引続き注目というところである。

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