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 6/18-19(日本時間6/20未明に結果発表)のFOMCを控えて、前回の記事で取り上げた1998年型利下げの話題がまた延焼している。足元の利下げ確率は1回25bp前提で6月が2割程度、7月が8割程度となっており、年内に75bpの利下げが見込まれているようだ。元々利上げサイクルでは暗黙のうちに金融政策の変更は3月、6月、9月、12月に行われてきており、7月利下げは規格外だが、6月以降に75bp分詰め込みたいなら7月までカウントしないといけないようだ。
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    年内から更に今後1年まで伸ばすと3.5回の利下げが織り込まれている。



 
FRED
 どうして75bpかというと、どうも前回取り上げた1998年利下げの再現が一人歩きしている。1998年(赤)でも利下げ幅が3回、75bpであった。アジア金融危機→ロシア危機→LTCMショックと続く中で、グリーンスパン元議長率いるFedは1ヶ月半の間で3回の「予防的な」緊急利下げを行った。その後この利下げがITバブルに繋がったため、大変縁起が良い先例となっている。1998年でも米国の長短スプレッドである3M -10y(緑)は逆転しかけた。そして今回も逆転している。更にがっつり逆転した2回のリセッション(紫のボックス)は一旦見なかったことにしよう。足元の経済指標の悪さと対照的な米株の堅調さも、まさに市場参加者「1998年の再来=ITバブル」という夢を共有した結果ではないか。
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 「予防的」とはいえ、一応1998年はアジア金融危機やロシア危機などで製造業景況感はISMベースで50割れが続いていた。足元でISM製造業は50に急速に近づいているが、まだ割り込んだ訳ではない。物価は確かに弱いし、貿易戦争により米国の先行諸指標は軒並み悪化しているが、果たして1998年の利下げを再現するような場面なのか。

 ぎゅうぎゅう詰めの利下げスケジュールを説明するもう一つのストーリーはリセッションである。1998年はたまたま25bp x3回であったが、一般的に利下げは今回の利上げ局面のように「1回25bp」というメジャードペースで行われるわけではない。たとえばこのまま貿易戦争で経済指標が更に急激に悪化して、「9月に50bpの利下げ」などがそれに当たる。その場合、9月時点の50bp Lowerが正しいとしてもそこから7月25bp利下げ確率をインターポレートするのは間違いだし、だとすると7月利下げが「あり得ないのに」こんなにも織り込まれている、と嘲笑うのも間違っている。

 今後の長短金利逆転からの利下げが「そんなものは行われない」訳でもなく、2001年や2007年パターンでもなく1998年パターンである、と言い切るのは相当狭いストライクゾーンへの投球である。6月のFOMCで果たして75bp利下げ織込みへの満額回答を得られるだろうか。指標が良すぎても1998年パターンもやって来ないし、悪化しても1998年パターンを通り越して2001年、2007年の方に走ってしまう。また金利の絶対水準が経済を締め付けているわけでもない今、そもそも利下げが本当にトランプ政権がガタガタにした設備投資マインドを回復させることができるかも怪しいだろう。1998年か2001, 2007年型かは貿易戦争の帰趨に依存している。1サイクル75bp以上の利下げ織込みプレイはリセッションプレイそのものである。
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 いずれにしても、ドイツ銀行が言うようにこれまでの市場参加者のFed政策金利の織込みは、ブルすぎもベアすぎもあるが、ことごとく間違ってきた。今回だけが当たる可能性は大きくない。どちらの方向かは分からないが、近いうちに大きな修正が見舞われる可能性が高いだろう。その時米株についてはどちら側への修正であっても調整しやすく、為替はFed利下げサイクルが始まると共にドル安が進みやすいだろう。

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*チャート、画像は主にツイッターなどWebから取得 

この記事は投資行動を推奨するものではありません。



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