SPX
 再び答え合わせから。需給の良さとファンダメンタルズの期待の薄さから「2730 -2950の間で情熱の薄い逆張りというところか」としていたが、需給の良さは変わらず、一方6月Fedはほぼ満額回答で、G20はどうやらポジティブサプライズで着地したようだ。「特に中国側が交渉を長期化させる覚悟で態度を硬化させているのが目立っている」が、その硬化した中国を見てトランプ政権の方が一方的に折れてくるとは予想付かなかった。過去最高値の2950はヘッドアンドショルダー右肩ブレイク通りに更新されたが、本ブログが唱える「新高値は売り」通りに一度は2900近辺まで反落した。しかし売り側の幸運はそこまでだったようだ。



ISM Manu

 ファンダメンタルズ的には、関税や取引禁止令を掛けては戻してもかき乱された設備投資センチメントは元に戻らない。米国の製造業ISMは急速に悪化しており、次の6月分は50割れも射程内に入っている。メキシコ、中国への関税が次々と取り払われたとは言ってもISMが直ちに戻ると断言できるかというと怪しい。大統領選前の年の米株は上がりやすいと言われているが、それは選挙対策のための景気対策でISMを含む景況感が改善するのが前提とも言え、今回は直前になって収拾を付けに行ったものの今のところ妨害ばかりであった

 そして2019年初頭の中国株は貿易戦争対策で景気対策を打ったところでブエノスアイレスG20があり、景気対策のみが残ったため2019年4月までに急上昇を演じたが、同じように米国で「貿易戦争対策の利下げだけが残った」バブルがやってくるには第3弾も取り除かないといけないのではないか。
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 Dealっぽく見えても第3弾まで関税がかかり続けるのはGW前よりも悪材料であり、それを7月利下げという希望が補って過去最高値近辺のS&P 500を正当化している形となる。ファンダメンタルズに利下げが即効性を持つかは不明が、少なくとも低金利はリスクパリティ戦略の活動を安定化する。一方そこからの修正の金利上昇は常にリスクパリティ戦略の売りを誘発するリスクを伴う。今のところリスクパリティ戦略は金融政策を人質に取ることに成功しており、2019年上半期は「債券と株を双方ホールドした場合のリターン」が1995年以来の高さを記録した半期であった。低インフレに裏付けられているとはいえ、この債券株式の同時バブルは持続可能ではないと見るのが自然だ。S&P 500が過去最高圏で推移する中で利下げとなると前代未聞であるため、7月利下げ織込みの後退もどこかで想定できるだろう。米金利市場が既に75bp利下げまで織り込んでいる中で、どうせインフレが加速しない中で株安による大統領の怒りを恐れるFedが引くに引けなくなっている可能性も残る(幸運にもクラッシュに繋がらないまま静かに織込みが剥落すれば利下げ取りやめに着地することも可能だろう)。そしていつかやってくる金利上昇を待つまでもなく、企業決算で貿易戦争のゴタゴタが米国企業に与えた内臓出血が見えてくる途端に終わる可能性もある。従ってここで買えなくても非常に長いスパンで後悔し続けるという展開は想定しづらい
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 しかし、目先はとにかくこのチャートの需給の良さ(ショーターの苦しさ)が一巡しないと逆張りはやはり危険に見えるゴールドマンのプライムブロカレッジ部門はヘッジファンド顧客が「過去1年間で落とし続け、6月月初に2016年以降で最低水準まで落ちたレバレッジを急速に高水準まで取り戻している」と表現する。
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 バンカメ・メリルリンチの投資家サーベイによるとグローバル株式を「オーバーウェイト」と答えたアセットアロケーターの割合は10年以来の低さとなっている。これが気合いの入った低さなのか、それともヘッジファンドと同様に今日明日にも踏まされるようなポジショニングなのか。
AQRIX
 リスクパリティというと、代表的なAQRIXはS&P 500が一文高値にしかなっていない中で4月の高値を2%も上回っている。債券部分が値上がりしたというのもあるが、S&P 500への感応度もそれなりに維持しており、唯一株のエクスポージャーが重そうな主体に見える。

 テクニカルにはサポートもレジスタンスも遠くなってしまった。クオンタメンタルなアセットアロケーターの踏みが始まってからリスクパリティの出口までの祭りに見えるが、静観か、次の兆候が見つかるまで2900台で短期回転というところか。 

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。



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