SPX Weekly
 先週「2800近辺を試す場面があっても驚くべきではない」と記事を書いた途端に月曜の夜にS&P 500は2800台前半まで急落した。米国の中国の為替操作国認定を受けて先物ベースでは2800割れも付けた。しかし現物は2800を試すことなく反発に転じ、2950近辺まで跳ねてから再び調整入りした。値幅は2800近辺まで見たのは正解だったが「日柄が経つまでの安易な押し目買いは危険に見えて仕方がない」は余計であり、2800近辺で速攻で目を瞑って投げ込むのが正解であった。その後については「関税第4弾の撤廃がないまま2900台後半がまた来ることがあれば売り場となる」としていたが、木曜の夜には一度2950に再び迫ってから2900台前半まで反落している。2800〜2950のレンジと言えばそれまでだが、テンポには今ひとつ釈然としない。

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 さてここからだが、貿易戦争に関しては前回の記事の時点と比べると米国当局がファーウェイとの取引再開を先送りしたりと更に決裂に近付いている。人民元はスポットに続いて当局発表の基準値も7.0を超えて完全に「一線を超えた」感がある。もっとも市場は「基準値が思ったより元安に進まなかった」ことを好感する場面もあり、市場の材料視の適当さを見せ付けた。実際、人民元(USD/CNY)の当局基準値を前日スポットとドルインデックスの値動きで解釈して残った分を当局が挿入したCountercyclical Factorとして推定すると、毎日「人民元安方向に逆らう形(人民元高方向に引っ張り戻す形)でCountercyclical Factor(図の下方向)が入っている。確かに7.0超えが問題視されるのは「そこから人民元のパニック売りが殺到して堤防が決壊するようにアンコントローラブルになる」ことであり、下げ幅としては(チャイナショックの時と異なり)今のところたかが知れている。しかし、チリも積もれば山になるし、いつまでも当局のスタンスそのものが畏怖され続けるとは限らない。たとえばこの秩序ある下落を演出するのに外貨準備高をそれなりに消費したと後で判明した日には大騒ぎになるだろう。長期的には人民元の自由化はポジティブニュースであるとはいえ、一週間で織込み完了となるような話なのか。加えて香港情勢もいよいよ材料視されそうだ。米国独特のヘッドラインはあまりない。決算シーズンはグダグダなまま通過した。
VIX
 ポジショニングとしては、 ヘッジファンドのネットレバレッジ(ロングとショートを相殺した後のネットエクスポージャー)は2016年以来の低さと相場不参加が続いている。「だから上がりやすいのだ」という安直な声もある。リスクパリティは、個人的にはVIXの20〜22を一回突っついたため、最大限まで膨らませたポジションの縮小作業がしばらく続くのではないかと思っている。
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 リスクパリティの売りリスクはBloombergも取り上げ始めている。 引用されたドイツ銀行の試算はまさに前回の記事で取り上げた「勘違いの島を個人投資家、リアルマネーが徹底的に無視した一方」「トレンドフォロワー系(システマティック系)のクオンツファンドが一人フルロングで暴れ回っていた」という図になっている。「クオンツ投資家のエクスポージャーは「既に歴史的レンジの最上部分にあり、従ってリスクは非対称だ」と(ドイツ銀行の)チャダ氏は5日の米国株取引開始前のリポートに記述した」「クオンツ投資家と他の投資家のポジションの隔たりは、ドイツ銀によれば中国が人民元を事実上切り下げた2015年以来の大きさだという」ここでもチャイナショックと同じというのは非常に縁起が悪い。

 一方で、ではどこでそのクオンツファンドの売りが出るのかというと記事はやや適当である。7兆円という数字も眉唾である。「ノムラのクロスアセットストラテジスト、チャーリー・マケリゴット氏も、クオンツファンドの動向が株式相場下落のきっかけになると考えている。S&P500種が2830に下落すると一部ファンドが売りに転じ、2714を下回れば「最大限のショート」ポジションの引き金になると試算している」

 テクニカルで見ると、2950より上の「勘違いの島」の近くは売り水準となる。「リスクは非対称的」なので売り安心感がある。一方難しいのは下値余地である。前回の記事で予想した2800より下は先物しか付けておらず、S&P 500現物は2804で跳ね返って週足で大きな下ヒゲ陽線を作っている。恐らくクオンツ勢以外のポジションがまだ軽いため、強い押し目買い意欲は確認できた。ヒゲ的には2804近辺がサポートとなるだろう。ヒゲがもし破られても3月、6月の底が並ぶ2700台前半がサポートとなりそう。その頃にはトランプ大統領からFedへの利下げ圧力が一段と強くなっていることだろう。とりあえずは2800〜2950の広いレンジ継続を見て、もし2800を下に抜けたら一段安に備えて仕切り直しという形になるだろうか。2700前半の3月、6月安値を抜けて野村の言う「2714」を下回るようなら更にクラッシュが加速するかもしれないが、まだただのリスクシナリオである。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。



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