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 先週の記事では米株の上げを見て「ショートでカッコよく一攫千金を決めるほどではないしろ、リスクを外したとえS&P 500が青天井になっても見送って穏やかな年末を過ごしたいものである」としていたが、早速先週半ばに2%程度の調整が観測された。「サーベイは49.5と相当ハードルの高いV字回復を織り込んでいるが、これを実際の数字が上回るのは相当困難だろう。またISMに限らずV字回復は至るところで織り込まれているため、あまりここから乗っかりたくはない」としていたが、果たしてISM製造業はV字回復どころか48台で低下を見せた。しかし弱いISMは「欧州や中国を追いかける形で改善している」Markit PMIとの整合性が悪い中、更に金曜に発表された良い雇用統計にかき消される中で無視されてしまった。またトランプ大統領のブラジルとアルゼンチンを相手にした関税引上げも発表し、12/15に第4弾発動か取消しが控えている米中貿易交渉も不透明のままであるがこの辺りも2%の調整で消化された。
 
 テクニカル的には、「一直線に上がってきたためテクニカルには依然大した示唆がない。せいぜい週足サポートの3065が残っているくらいだ」と前回の記事でやる気なく記していたが、まさに寸分違わずその水準で指数は跳ね返った。テクニカルの美しさが光るのはこういう時である。ここからは3065のサポートは再び強化される。調整が済んだ後なので引続き逆張りの売りは禁物である。3065を再び下にブレイクした場合はもっと激しい調整のリスクが出てくる。
VIX
 ポジショニングは依然一朝一夕で変わるものではないため、リスクパリティの買戻しが続いていることが急落局面での強さの背景の一つだろう。調整局面ではVIXが高騰する場面もあったが、所詮17台ならリスクを積み始めのリスクパリティを揺さぶることはできないだろう。リスクパリティショックを招くにはあくまでもVIX 20以上か米金利の急騰が必要と考えている。
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    11月の米株ETFへの資金流入は2018年1月以来の大きさとなった。2018年1月並みのラッシュまで行くと翌月VIXショックが起きるものだが。

 ファンダメンタルズ的には12/15の第4弾関税開始が控えているが、どこかで回避が決まるのか、それともそのまま時間切れになるのか。中国側が「既存関税の撤廃」を主張し続けているため、もし時間切れになったらしばらく交渉再開はないだろう。経済指標は物価関連が多い。第4弾回避が依然多数派と思われるため、たとえそう決まっても壮大な踏み上げにはならなそうに見える。週後半にはイギリス総選挙が控えているが、ここでびっくり仰天な結果になるイメージもない。経済指標はISMを完全に無視するのはやや楽観すぎに見える。一方、決め打ちショートも分が悪い。レンジを想定しながら3065を背に慎重に押し目買いというところだろうか。

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