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 日本の長期国債金利の指標となる10年金利は久々に0%に戻ってきた。グローバルのリセッション懸念も一旦盛り上がってから後退したことから、また日本の独自要因であった夏の日銀マイナス金利深掘り匂わせ騒ぎが円安の継続で剥落し、更に「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」という名の財政拡張懸念(国債増発懸念)により、夏に一時▲30bp近くまでマイナス利回りで買われた10年JGBは今年3月以来のプラス金利復帰となった。

 日本独自の要素がいくつかあったため、今回のグローバル金利上昇局面では米金利対比でも円金利の上昇ピッチは普段よりも速く、例えば8月底値からの10年金利上昇幅は米国債が1.45%から1.84%の39bp、JGBが▲0.29%から0%の28bpなので単純計算でJGBの対米βは70%を超える。この対米β(米10年金利が1bp上昇した時に円10年金利が何bp上昇するかという筆者の勝手な定義)は長期的には30%程度が天井になっていた。

Japan US Yield Spread
USDJPY
 「グローバルオープン債券投資の選択」をドル円相場のメインドライバーと仮定した場合にドル円が連動すべきは日米金利差だが、米金利対比で円金利は「あまり動かない」ため、ドル円は近似的に米金利そのものの値動きを参考にしてきた。ところが、円金利が米金利に負けないくらい動き出すとなると話が違って来る。日米10年金利差(上図)は8月以来1.9%を中心とするレンジで動いており、現水準の1.84はややタイトな方(レンジの中で見ると円債の方が魅力がやや高い)に位置しているが、ドル円(下図)はと言うと同じ8月以降の105 -109.7のレンジの中のほぼ天井圏に位置している。春以降の日米金利差の縮小という大きなトレンドと並行するかたちで夏まではドル安円高が進んだのだが、秋からドル円だけ一人反発している。
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  それが修正されるきっかけになったのかは不明だが、ドル円は12月に入って急速にグローバルリスクオンへの反応が鈍くなっている。一方日本株もドル円の下落を全く気にする様子がない。財政拡張は教科書的には金利高から通貨高(から民間資金調達のクラウディングアウトと輸出不振で長期的にはGDPが元通りへ)に繋がるとされているが、まさか教科書通りの展開が起きるのか。それともこれは一時的なぎごちない組合せとして忘れ去られるのか。
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 Bloombergのまとめによるとグローバルで今年利下げを行った国はピンク、据置きが藍色、利上げは水色であり、少なくとも面積ベースで言うとピンクの方が藍色よりも広い。Fedのハト化から始まった金融緩和ドミノの最中にあって日本は据置きを貫いた。
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    長らく言われてきた「金融政策から財政政策」へのシフトを日本が真っ先に行ったとなると教科書的には見事な円高株高になるはずである。もっとも、財政出動の規模について事業規模のヘッドラインは25兆円、うち財政支出が13.2兆円、うち国・地方の歳出が9.4兆円、うち「真水」と呼ばれる国費が7.6兆円、うち補正予算は例年並みの4.3兆円となっており、25兆円や先立って流れていた真水10兆円という数字に躍らされている参加者がいないかも心配である。

 また、ここ2年間動きらしい動きがなかったドル円で年末にもなって今更遊ぶ参加者は少数派になっているだろう。どうせ円安になったら日銀がどんどんハシゴを外して来るに決まっているのでアップサイドを売る心理的抵抗は薄いし、一方でドル円の3ヶ月為替ヘッジコストは年末にかけて2.4%程度、年末を超えても2%程度かかりそうなので、円高になったら外債投資のヘッジを部分的に外して利回りを改善させたい投資家が行列を作っていそうである。実際今年中を振り返ると年初の流動性の薄かった時期はともかく、(GWはみんな二匹目の円高のフラッシュクラッシュを狙ったようだが空振りに終わり)、夏のドル円105円割れはそういった実需にブロックされた。

 円金利については、どうやらイールドカーブコントロール(YCC)で±30bpの間にコントロールされることになっているようであるし、お金が余ったらプラス域ではとりあえず積んでおけばヘッジ付き米国債などより遥かにマシであるように見える。一方テクニカルには円金利は長期的にはあくまでも海外金利に連れられて動くものであるため、0%そのものが常にサポートやレジスタンスになる訳ではない。また日銀政策金利のボラティリティはFedより遥かに小さいに決まっているため、対米βが現水準で高止まりすることも想定していない。

この記事は投資行動を推奨するものではありません。



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