Dollar Index 
DXY Daily
 2019年を通して非常な緩やかなドル高が続いた。緩やかな上昇コリドー状の、値幅にして96〜99円の3円レンジであった。Fedが春から昨年までの利上げトレンドから利下げトレンドに転じた割りには米ドルは堅調であったが、背景はオセアニアを中心に他の中銀もここぞとばかりに、Fedよりも更にアグレッシブに金融緩和に転じたことと、またその結果ROW対比の相対的に米ドルの短期金利の優位が保たれ、更に為替市場の低ボラティリティ相場が長続きしたことからそのキャリー差が魅力的に見えたためである。政策金利で見るとUSDはEURより2%、AUDより1%ほど高い。
 
Total Assets
 また、2018年に始まったFedのQT(バランスシート縮小)による米ドルの回収もドル高の支えとなった。しかし、秋にレポ・ファンディング危機をきっかけにFedがバランスシートを再拡大するに連れて米ドル高トレンドにも変化が生じ、11月から12月にかけてドル指数はレンジ下限まで低下してきた。ECBもQEを再開しているがペースはFedと比べて遥かに遅い。

 ドル調達が簡単になることにより米ドルを売って外貨を買いやすくなる。一方、米国の投資家が外貨をショートして米ドルを買いたい場合は外貨を借りて米ドルを買うオペレーションとなり、米ドルが借りやすくなっても手元に米ドルがなくても変わらない。海外の投資家が外貨を持ち込んで米ドルを購入する時もやはり関係ない。なお米ドルを円資産に積極的に投資する参加者は少数だろうから仮にドル安が加速してもドル円にはあまり関係ないドル安になるだろう。

 景況感で見ると、ドル高であった2018〜2019年前半は米国の景況感が堅調に推移していた横で欧州を中心にROWが一歩先に悪化し始めていた。足元ではROWも米国も反発しており、むしろISMベースでは米国の反発が遅れている。株では確かに米株が最も調子が良いが、それだけでBS拡大に逆らえるほどの米株買いのための米ドル買いを誘発できるか。残るドル高シナリオは米中決裂による貿易戦争再開くらいと思われる。

 テクニカルに戻ると、2018年6月に急激なドル高トレンドから緩やかなドル高コリドーに移行した後のサポートラインは既にやや割れており、一方2019年のサポートラインにはちょうど差し掛かったところである。日足の200SMAも2019年に入ってから6回ほどサポートになってきたが、足元ではがっつり割れており、割れてからの反発は先週200SMAにブロックされた。200SMAを取り戻せないと底割れからのフォロースルーリスクが高まってしまう。200SMAを取り戻した場合はドル高コリドー継続になるだろう。

 残る米ドルロングの根拠になり得るのは先ほど触れたキャリーだが、キャリーが大事に見えたのは低ボラティリティが前提であった。2019年は3円レンジで米ドルのキャリーが対AUDで1%、対EURで2%あったので意味があったが、万が一レンジブレイクと共にボラティリティも上昇すると米ドルロングのキャリーポジションが根拠を失い、「どうしてそんなスズメの涙のキャリーに必死になっていたのだ」と怒られて畳まれ出すリスクがある。夏にFedの利下げが現実化した時も似たような記事を書いて大外ししているためレンジ下限でのドルショートには懲り懲りだが、もしレンジを抜けた後もキャリーを理由に漫然とロングを続けた場合の怒られリスクは高まりつつあるように見える。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。



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