SPX Daily
SPX Weekly
 S&P 500はついにコロナショックに見舞われた。下窓を空けて始まってから一直線で下落が始まり、一週間で実に10%を超える下落となった。つい先週まで3300台の議論をしていたのに気付いたら2900台と、我々が馴染み薄い大台に突入してしまっている。
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SPX correction on record_1
 S&P 500の10%を超える週間下落はリーマンショック以来であり、その前はドットコムバブル崩壊時まで辿らなければならない。またピークから10%調整にかかった日数としては過去最短となった。なお二番目に短いのは2018年2月のVIXショックであり、リスクパリティの隆盛と共にピークからの素早い急落が風物詩になりつつある。
VIX
 本ブログは下落が本格化する直前から大々的に「再び天井サインが点灯」と予想していた。「(世界ファンドマネジャーの)現金比率の低さは相場が下落に転じた時に彼らが取れる選択肢が様子見か投げかしかないことを示してる」「1月安値ではVIXが20までしか伸びずリスクパリティの投げを誘発することはなかったが、今回も20〜22ゾーンは要注目である」としていたが、実際月曜からVIXは22を超え、この時点から我々はリスクパリティファンドの機械的な投げを警戒しなければならなかった。リスクパリティの投げは指数の下落を加速させ、加速する指数の下落は更に予想ボラティリティの高騰を招き、一週間にわたってスパイラル状の下落が続いた。

 しかし下値目処については、本ブログといえども「下値は1月安値の3200あたりがファーストターゲットとなりそうだ」「1月にプライシングした3200への回帰は全く不思議ではないように思える」「今までの一直線上げの感覚で高めの水準で3200すら想定せずに食らいつくとストレスに晒されそうだ」と、明確に下方向を予想していたとはいえ一週間の内では3200までしか想定できていなかった。その後VIXが22を超えてリスクパリティショックを誘発したことから、「指数が相変わらず割安ゾーンには突入しないと仮定すると3000より上のどこかでは押し目買いとなるか」という本ブログの悠長な押し目買いゾーンを突き抜けて2855まで付けてしまった。VIXショックを警戒しておきながらインパクトを過小評価していたのは痛恨のミスである。

 リスクパリティを含む市場参加者のポジショニングがパンパンであるとは本ブログが繰り返し述べて来たので、一旦VIXが22を付けた場合2018年2月のVIXショックが再現されるのは明らかであった。となると、ファンダメンタルズの裏付けがない純粋なリスクパリティショックである2018年2月ですら10%の調整が見られたことから、新型コロナウィルスというファンダメンタルズの裏付けがある今回が10%以上の調整を見せるであろうことは簡単に予想できたはずだ。持ち込み可の試験のようなものである。
Total Cases exclude china
 もう一つの持ち込み可の試験は中国以外の新型コロナの広がり方である。我々は中国での広がり方を既に学習してきた。強力な政府による必死な都市封鎖などの施策があっても蔓延がコントロールされるまで2ヶ月近くかかっている。施策がないままの諸外国での広がり方が中国以下になる可能性は低い。となれば朝起きるたびに欧州や米国でどんどん見つかるのも当たり前であった。
SPX PER
 さてここから。バリュエーション的にはフォワードPERが16台と2014年以来では平均的な水準まで回帰した。指数は既に昨年年末のnot QE開始後から米中貿易交渉フェーズ1締結までの全ての上げ幅を吐き出した。本ブログは散々「バリュエーションが高くでしかもみんなポジションパンパンなので深追いはしたくない」としてきたが、ようやくまともに長期投資を考えられる水準となっている。年末の水準が今より高いか安いかと問われたら少しは高そうではないか。余談だが日経平均のPBR =1も20700〜20800近辺にあり、一回は反発しやすい水準とされている。

 チャート的には、単独ではやや弱いが金曜日足は綺麗な下ヒゲ陽線であり、安値の2855は10月初旬の安値と並んでおり弱いサポートとなるか。2800台前半は昨年後半何度も押してはヒゲで押し返された水準である。更に下では2018年年末も反発した200週SMAの2630が控えており、そのあたりは岩盤になるだろう。上は一直線に降りて来たためレジスタンスも遠いが、毎日スケベロングが入った痕跡である、連発された上ヒゲ陰線のヒゲではそれぞれポジションがしこっていそうだ。
discretionary vs systemtic
Risk parity beta 2.29
CTAs have flipped
 ポジショニングについては、zerohedgeがDBのクオンツリサーチのレポートをアップしてくれている。1枚目が示すシステマティック投資家(青)の株ポジショニングはロングパンパンから急速に畳まれている。これと指数の値動きを合わせるとシステマティック投資家が急落加速の犯人であることは疑いない。縦軸はβではなくz-Scoreなので、全くの空っぽというわけではないが一時期のように重くはなくなった。特に金曜には株安ヘッジとしてワークして来たゴールドまでが全面的なポジション縮小により売られており、頼りにしていた相関の崩れによる株とゴールドのダブルヒットまで耐え抜いたシステマティック投資家はわざわざ来週に売らないだろう。続く2枚はリスクパリティのβとCTAの株ポジションであり、どちらもロングが急速に畳まれた。特にCTAは中立まで畳まれており、ここからは更にショートを入れて来てもそのうち畳まれることになるので中期的には脅威にならない。

 裁量投資家(1枚目の緑)は渋々高値から軽いロングで付いて行っては軽い含み損になったようだ。バリュエーションはフェアでありポジションも軽いが、新型コロナの蔓延状況次第で減益トレンドが見えてくると安値をも叩いてくるかもしれない。しかしそれでも潜在的な売り手の少なさを考えると、確率論的にはここが大底でないにしてもいいところまでは来ていると見てよさそうである。
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 ファンダメンタルズには、先進国における新型コロナの蔓延の曲がり角はまだ見えない。一方で金曜にはFedのパウエル議長が「新型コロナウイルスの感染拡大が経済へのリスクになっており、景気の下支えに向けFRBとして適切に対応する」としており、そこまで言っておいて利下げしないわけにはいかないだろう。2018年年末のS&P 500急落局面でもパウエル議長の利上げ停止発言がその後反発の背景になったことを考えると幸先は良い。もっとも話はそんなにシンプルでよいのかという懸念は残る。また先週の記事で重視したように、たとえ新たな悪材料がないにしても既に非製造業PMIは50を割っているので、短期的には3200まで跳ねるのも難しいだろう。
SPX Vix shock
 まとめると、結局はVIXショックの記事でも取り上げたように「値頃より日柄」ではないか。2018年2月のVIXショックでは一旦は「リスクパリティの売りは新材料に基づくものではないから逆らっても大丈夫、待ち焦がれていた買い場ができてよかった」と一旦は激しい反発を見せてから二番底を付けるまでさっぱりな値動きとなっており、今回もそれが参考になるのではないか。第一波のセリング・クライマックスは金曜だったと思っているが、今狙えるのはあくまでも短期的な反発であり、長期的にこれだけの激しい下落がこの水準でピタリと止まって即座に反転した確率はそこまで高くは見積もれない。デッドキャットバウンドを見て慌てて高値を追いかけて二番底にハマることにならないように少しだけ逆張り買いを入れても心理的には有意義だろうが、全て見送っても諦めきれるくらい慎重に運びたいものである。いかんせんボラティリティが先週までとは全く違う。3100近辺までの反発でもあれば拾ったナイフの手放しどころに見える。

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