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 一足先にCOVID 19対策の経済活動停止から脱却した中国経済について、久々にアップデートしてみたいと思う。同日に発表されることが多く何かと比較されることが多い中国の鉱工業生産と小売売上高は、ロックダウン明けに鉱工業生産の方がさっさとプラス成長に戻っているのに対し、小売売上高の戻りは鈍いという対照的な図となっている。公式失業率はほとんど伸びていないものの、個人経営ビジネスへの打撃などで明らかに人民の所得が激減しているし、米国のように大盤振る舞いなばら撒きが行われているわけではないので、当然買い物どころではない。GSの消費者活動トラッカーも消費活動が戻りきれていないことを示唆している。もっとも資生堂のようにリベンジ消費でコロナ前への完全回復を見ている声もある

China Service PMI Caixin
 財新サービス業PMIがパッとしないのも同じ示唆を示している。Markit系PMIの質問票は「前月比」で改善・悪化を問うている。従って2月分の激しい悪化から元に戻るには激しい改善が必要であるが、「激しい悪化」の後に「更なる緩やかな悪化」が続いており、V字回復とはほど遠い。
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 特に打撃が大きかったであろう飲食業については、GSが調べた飲食業向けSaaS大手のHualalaのデータによると、ロックダウンが激しかった時期に8割以上が閉店していた店舗はコロナ前の9割以上まで再び開業しているが、支払い件数はせいぜい7割までしか戻っていない。供給より需要の戻りの方が鈍いのがポストコロナの話題になりそうである。
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 財新PMIが示唆する製造業の方は、中国国内の経済活動停止に続いて、時間差をおいて海外が経済活動停止に入り始めたのが第二波の打撃となっている。指数全体で見るとL字回復であるが、新規輸出受注が壊滅的である。
China PPI CPI
 供給力を元に戻すのが簡単であったのに対して需要がすぐに戻らないとすれば当然物価は下落傾向になる。中国のコアCPIとPPIはそれぞれ下落のペースを速めている。供給力の落ち込みによるコストプッシュインフレは中国では実現せず、グローバルでも恐らく起きないだろう(ただ中国よりも個人向けばら撒きに重点に置いている国や地域はデフレ圧力は軽いはずである)。
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 数少ない明るい話題である新規社会融資総額(TSF)は他の年対比でハイペースで積み上がりつつあるが、収入が減ってお金を借りたい企業は増えるに決まっているので、例えば金融引締めが経済のボトルネックだったところでの方向転換が示唆された2019年春と違って特段グッドニュースではない。
 M1 
 ただ、それでも圧倒的な金融緩和が作り出したM2に引っ張られて、企業預金とほぼ同義であるM1は2018年以来の謎の低迷からようやく脱出して増え続けている。アホらしいデレバレッジ運動が作り出した企業の慢性的な資金不足だけは解消されつつある。中国のばら撒きは(先進各国のような)個人向けよりも企業向けの方が充実しており、回復があるとすれば(チャイナショック後のような)消費主導というよりは不動産かインフラ投資主導になりそうである。
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 なお、消費の中で数少ないブライトスポットは自動車であり、自動車売上は買い控えの反動、新環境規制適用の後ろ倒しや補助金などの政府の購入支援策、また一部で言われている公共交通機関利用から自動車へのシフトなどにより2018年以来の前年比プラス圏に浮上している。

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