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 毎月レポートとして公表されるBank of Americaのファンドマネージャーサーベイ(俗称FMS)は市場参加者の中でも機関投資家の雰囲気を表現しているので一部で注目度が高い。この手のサーベイに対して、(自分で発掘したリスク要因など)奥義が隠されることはあっても、ロングが重い参加者が変にショーターのふりをしても相場操縦ができるわけではないし、その割りにはそう疑われたら面倒なので、概ねみんな素直に答えていると見るべきだろう。最新号にあたる6月分の欠片がTwitterに豊富に転がっていたので拾い集めてみたいと思う。

 まず株式は過大評価されていると考える担当者は過去最高の78%に達した。同様に3月からのラリーは「ベアマーケットラリー」と考えている担当者が53%、「新たなブル相場」と考えている担当者は37%にすぎない。

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 過大評価(割高)からの出発になるので、当然ながら今後10年の株式の年率期待リターンは0〜5%と低迷が予想されている。次点が5〜10%である。
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 企業に最も期待したいこととして、配当や自社株買いと言った「株主還元」は最低水準まで低下している。代わりに「バランスシート強化」がトップに躍り出た。こちらも保守的になっているのが分かる。
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 ポストパンデミック時代(俗に言うアフターコロナ)の構造的な変化として挙げられているのは、サプライチェーンのオンショア化と保護主義がツートップとなっている。当然どちらも企業にとって負担増となる。
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 目下の最大のテールリスクは「Covid-19の第二波」が最優勢であるがそれも徐々に後退しつつある。なお今年2月は「大統領選の結果」であり、その前はずっと貿易戦争であった。従って第二波が現実化しても「やはり」で済む一方、第二波リスクが払拭されても次に大統領選が話題になるであろうと思われる。
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 人気の「クラウディッドポジション」は当然USテック・グロースLであるが、最近はもはや米国債LとUSテック・グロースLの間で行き来しているだけであるし、当選したところで必ずしも当該資産の暴落を招いたわけではない。一般的には混み合っているポジションは逆方向に行った場合に「押すな押すな」となりやすく脆弱であると言われているが、畢竟投資は完全なゼロサムゲームではないのでまれに大半の参加者がハッピーになることもある。
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 投資家のキャッシュ保有割合は大きければ大きいほど株の買い余力が残るということで逆指標とされることが多い。今回も春の急落時に20年来の厚さまで(株をぶん投げて)積まれ、そのまま4月に相場が戻るのを無視していたが、5月以降になって5.7%から4.7%と2009年以来の大規模な「キャッシュからの逃避」が起きている。キャッシュの再投入は足元の一層の株高の燃料になったに違いないが、4.7%という水準は既に過去5年で見ても特に大きくない(これ以上つぎ込まれたケースは2018年VIXショック前と2020年コロナショック前のしつこい上げしかない)。従ってショートカバー、及びキャッシュ大量保有者の株式ポジション回復という広義のショートカバーは既に一巡したと考えるべきである。冒頭の白けた雰囲気の考え方が本物であれば、買う理由しかなかった2018年初頭や2020年初頭のように情熱的なニューロングでの高値追いには出づらいだろう。高値追いをする参加者がいるとすれば他の参加者である。
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 ヘッジファンドのネット株式エクスポージャーは我々が他所で見てきた推定と大きく異なった図となっており、2018年VIXショック直前以来の大幅なネット株ロングとなっている。
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 そのカラクリはおそらく取材企業数にある。2020年6月分のヘッジファンドの回答者はわずか8社であり、この8社が業界の中でもネットロングに傾いていたということだろう。なお年金、保険、投資信託など他の機関投資家はそれぞれ数十社の回答が得られている。全部で5980億ドルを運用する212社にサーベイが送られているようであり、その中の190社から回答が得られたことになる。
 
 まとめると、多くの機関投資家は3月以来の激しいラリーに対して付いて行けておらず、若干酸っぱいブドウ感も漂うものの株式は過大評価されており、この焼け野原から入っても相当の期間にわたって儲からないという冷めた見方をしているように見える。しかし市場のモメンタムと、最近になって現れてきたファンダメンタルズの改善に逆らい続けて株式から離れるほどの勇気もなく、嫌々ながらもやや遅れてポジションを復元しているように見える。株高で盛り上がる個人投資家とは全く異なる、イケてない雰囲気の世界が広がっている。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。



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