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SPX DailySPX Weekly
 S&P 500は週明けはリスクオフが進みそうになったが、FedのSMCCFによる社債個別銘柄の買入れ開始米国の良かった小売売上高を受けて切り返し、週央にかけて先週の急落に付いて行った参加者を置いていく形でリスクオンが進んだ。もっとも4日間かけてトライしても3140で頭を押さえられ続け、先週の3140より上の雇用統計アイランドを救出するには至らなかった。少ないとは思うが、本ブログが元々重視していたもののやはり付いて行きたくないとした「3140ブレイクで週足ヘッドアンドショルダー右肩ブレイク」を受けて窓の上から飛び付いた参加者は一向に含み益にならない状態が続いている。ファンダメンタルズ的に言い換えると「雇用統計と小売売上高を受けてV字回復を確信して」ロングを作った参加者が一向に含み益にならない状態が続いている。

 「5月前半のショートを作りやすかった時期のレンジ上限が2950であったため、残っていたショートがあるとすれば2900後半にとりあえずショートカバーをしない理由はない。週足的には2970サポートは首の皮一枚で生き残っている。一方、雇用統計でギャップアップした水準はアイランドリバーサルとして取り残されてしまっており3200近辺は一気に重くなってしまう」「窓にも届かないと考えたら足元で最もタイトなレンジは2970 -3140となるか」という先週のレンジの読みは結果的に完璧であった。週末から月曜までのリスクオフ雰囲気を「全てを無視して過剰流動性に押し流されて上がり続けた場合の方が付いて行き方が難しいので、下に抜けたら見捨てるつもりで軽い押し目買い回転スタンスを維持した方がストレスが少なそう」と無視したのも正解であった。
 
 さて来週。ポジショニングについては先週の記事で拾ったものとバンカメのレポートが充実しすぎており付け加えたいような新たな発見がない。機関投資家はショートカバーや最低限のポジション復元を概ね済ませており、あとはロビンフッダーなど個人投資家が買ったり投げたりと跳梁しているだけに見える。となると機関投資家ポジショニングよりもテクニカルやモメンタムの方が大事になって来るだろう。
VIX
  VIXは先週の大活躍からうってかわって指数を見て後追いで動くだけの存在感が薄い週となった。先週末の40超えは解消されたとはいえ5月や6月初旬よりも水準が高く、従ってその時に出て来なかったリスクパリティファンドの買い戻しは今後しばらくも出て来づらい。もっともリスクパリティのポジションが小さいことには変わりがないので、先週がそうだったようにVIXが上がっても連鎖的にVIXショックになだれ込む可能性は低い。

 ファンダメンタルズに関しては、米国のいくつかの週で感染拡大が続いているが、少なくとも先週に関しては感染者数のヘッドラインで指数が売られてもすぐ押し目買いが入りやすかった。雇用統計と小売売上高はファンダメンタルズベアを駆逐するのに十分なグッドニュースとなったが、肝心なそれらのニュースを見てポジションを作った参加者は薄い含み損状態である。今最も活発な投資家層はバリュエーションもニュースもあまり気にしていないようなので、そのあたりを考えてポジションを作ってもリズムが合わない可能性が高そうだ。
Fed Total
 なお4月以降の株高の支えになったFedのBS拡大は、足元の停滞を経てついに逆転が始まっている。これはレポファシリティの利用減などのテクニカルな要因によるものであり、テーパリングにはほど遠い(同じように金利上昇による株クラッシュも考慮する価値がなかった。この局面で間違って引締め色を出した日には本当にパウエル議長が首になってしまう)が、もしFedの総資産増減を見てパブロフの犬のように売買する参加者がいた場合、この変化が大騒ぎになる可能性はそういった真面目な議論とは別の次元にある。

 テクニカル的には2970 -3140レンジからシフトする理由があまりない。先週の値動きから3140は相当のグッドニュースに耐え抜いた非常に強いレジスタンスとして復活する。3140を仮に突き抜けたとしても上ではまだ雇用統計アイランドが待っている。先週よりは「全てを無視して上がり続け」そうな勢いが衰えているように見えるので、先週よりも「押し目買い回転」が面白くなくなる。一方、先週週明けに付けた2900後半の水準ではショートカバーしなかった後悔が残るだろうから下値を期待してのショートは張っても引っ張り続けづらい。先週安値の2965から日足50SMAの2950にかけてが目先のサポートとなりやすく、それがブレイクされた場合は4月からのトレンドラインが伸びている2800前半が次のサポートとなる。バリュエーションが高いとはいえ一回3200まで見てしまった後の2800前半〜2900後半のゾーンは目が慣れてしまったぶん(しかも前回もみ合っていた時間帯と比べて雇用統計、小売売上高が加わっているため説明がしやすく)押し目買いが入りやすそうであり、それだけにもし勢い余ってこのゾーンを全てこなした場合は一転してマーケットがロングに偏り始め再び脆弱になる可能性もありそうだ。いずれにしてもメインな参加者がやや短気な人達に入れ替わっているようので、モメンタムに乗るほどでないにしても、あまり逆らうべきではなさそうだ。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。