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spx dailySPX Weekly
 S&P 500は週間値幅3005 -3155と再び2970 -3140のレンジに概ね収まった。週明けはまずナヴァロの失言で一回クラッシュしかけたが、直ちに否定された後はショートカバーが優勢となった。しかし24日に発表されたIMFの世界経済見通しが悲観的であった、また無視され続けてきた米国の感染者数がようやく経済再開の足を引っ張るようになったことから、3140をやや超えたところから再び反落した。値幅、そして上にも下にも行きづらかった地合いも含めて先週の記事で記した「先週の値動きから3140は相当のグッドニュースに耐え抜いた非常に強いレジスタンスとして復活する。3140を仮に突き抜けたとしても上ではまだ雇用統計アイランドが待っている。先週よりは全てを無視して上がり続けそうな勢いが衰えているように見えるので、先週よりも押し目買い回転が面白くなくなる。一方、先週週明けに付けた2900後半の水準ではショートカバーしなかった後悔が残るだろうから下値を期待してのショートは張っても引っ張り続けづらい」としてきた通りである。

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 ファンダメンタルズ的にはIMFの世界経済見通し引き下げは相当な重みを持つ。2020年のGDPは4月時点の-3%から-4.9%まで引き下げられている。また来年のV字回復幅については+5.8%から+5.4%に引き下げられている。例えば6月初頭時点でのGS予想では今年-4%、来年+6.5%としているので、IMF予想がコンセンサスよりも大幅に低く、V字回復への期待に水が差されたことは間違いない。IMFが必ずしも投資銀行などと比べて世界経済に詳しいとは限らないが、今までもIMFの見通し引下げは相場にそれなりのインパクトを与えてきた記憶があり、軽視するのは危険である。
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 デモなどを通して米国でコロナ第二波が広がっているのは6月半ばから常識であり、それによって株安を招くことはなかった(毎晩発表で指数が下落しても分単位ですぐに押し目買いが入った)。広がってもどうせ経済の再ロックダウンはないのでV字回復は阻害されない、という見方が圧倒的であったが、先週になってようやく経済再開の足を引っ張り始めている。気合いで乗り切ろうにも病院が満杯になったら結局詰んでしまう。その他では銀行株がボルカールール緩和のヘッドラインFedによる9月までの自社株買い禁止というヘッドラインに上下に振らされた。Fedのバランスシート縮小は二週間連続で続いており指数にもやや上に飛びづらい雰囲気を与えている。残る株が上に飛ぶ要因としてはワクチン開発の進捗と新たな金融緩和・財政出動だろうか。今週はISMの週となる。足元の経済指標は底打ちからのアップサイドサプライズが多いが、小売売上高以来(指標重視勢がアイランドに取り残されたままだからか)あまり材料視されていない。
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 ポジショニング。「ファンダメンタルズベア勢のショートカバーは一巡したが株ポジションの重い参加者も少ない」という全体像は一朝一夕では変わり得ないだろう。米国株ファンドへの資金流入は6/10の週で一巡しており、ショートカバーが見事に雇用統計アイランドで決まったことを示唆している。滑稽であるがそれがファンダメンタルズ投資の現実である。
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 カナリア。VIXは依然指数を見て右往左往しているだけである。ロビンフッダーが少ないハイイールド債はS&P 500と違って既に8日の週の安値を割り込んでいる。であればS&P 500の前回安値死守も危うくなるのではないか。

 久々に二週連続で2970 -3140レンジが綺麗に決まっているテクニカルは、レンジ継続ながらもだんだん相場の頭が重くなってきたこと示唆している。週足は綺麗な上ヒゲ陰線となり、3155は週足レジスタンスとなる。この近辺は2度も跳ね返っているので、何かのきっかけでブレイクできればそれなりに信用できるブレイクとなるが、依然上には雇用統計アイランドが立ち塞がっている。その水準に至るまでは引き付けてのショートエントリーもだんだん恐怖感がなくなってきた。先々週の「全てを無視して過剰流動性に押し流されて上がり続けた場合の方が付いて行き方が難しいので、下に抜けたら見捨てるつもりで軽い押し目買い回転スタンスを維持した方がストレスが少なそう」から先週の「先週よりは全てを無視して上がり続けそうな勢いが衰えているように見えるので、先週よりも押し目買い回転が面白くなくなる」を経て「2965から日足50SMAの2950」にかけてのサポートは消滅してしまう。下値余地の方は前回記事とあまり見方が変わらない。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。