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 DBの8月のシーズナリティについてのレポートが転がっていたので、他のレポートと合わせてまとめてみようと思う。8月のG10通貨の中で、リスクオンに伴い上昇しやすいリスク通貨のオセアニア通貨(AUD, NZD)は最も売られやすく、中でもNZD/USDは平均で2.5%程度下落している。AUD/USDもNZD/USDも10年間の10回の8月の中で9回は下落している。全体的に対米ドルで下落しやすい通貨が多く(つまりドル高に傾きがち)、値上がりしやすい通貨はJPYとCHFしかない。10年間で8月にUSD/JPYが円高となったのは6回であった。通貨だけで見るとあまりリスクオンな雰囲気になりやすい方ではないようだ。

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 では8月は株が下がりやすいかというと、S&P 500は10年間で3回上昇、5回下落、2回ほぼ動かずとなっている。ただ幅は下落幅の方が大きいようだ。そしてDBが言うように株が上がろうと下がろうとNZDは下落しやすくなっている。平均値だけなら一個や二個の極端なサンプルが大きく引き上げ、引き下げている可能性(その場合一個のサンプルが偶然である可能性が高くシーズナリティとしての有効性は疑問が付く)も残るが、回数まで示されると反論しづらい。8月といえばとりあえず2015年8月のチャイナショックが想起されるが、それだけではない。
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 長期金利(10年スワップ金利)も多くの国で8月は他の月よりが低下しやすい。
Seasonality-Average-Bp-Move-in-10-Year-U.S.-Treasury-Bond-Yields
 MSのレポートも8月の金利低下を示唆している。20年平均をとると8月の金利低下という傾向は更に顕著になっており、ダントツで金利が低下しやすい月となっている。
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 貴金属では金の上がりやすさが目立つ。通貨、金利と合わせてややリスクオフに傾きやすい雰囲気となっている。しかし今年に限っていうと7月でこれだけ金と国債が買われた後に更にシーズナリティが火を噴けるだろうか。
SP500 1M
 株に戻ると、バンカメは1928年以来のS&P 500シーズナリティを統計している。セルインメイで有名の5月の悪さは限定的であり、どちらかというと2月と9月の悪さが目立つ。7月がベストであり、8月は7月対比ではやや弱いが依然プラス圏である(上のDBレポートの方によると直近10年に限定するともう少し悪いようだ)。
SP500 3M
 3ヶ月リターンで見ると、9月の悪さもあって8月スタートの3ヶ月がドベである。
SP500 Presidential
 しかし大統領選の年に限ると、7、8月を中心に夏場から秋にかけてのリターンは良い。結局切り方によって当たるも八卦当たらぬも八卦に近づいてしまうのか。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。