Unemployment
 先週の米国雇用統計ではエコノミスト達の予想を遥かに上回るペースで失業率が低下して祭りになった。家計調査である失業率と事業所調査である非農業部門就業者数との温度差も話題になったが、いずれにしてもコロナショックで失われた大量の雇用が少しずつ戻ってきていることは間違いない。
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 経済活動制限に伴い一時期2000万人が失業するという辛い時期もあったが、第一波も第二波も終息に向かいつつある中で経済活動が再開すれば当然一時的に失われていた雇用の多くは戻ってくるだろう。ワクチンができたら尚更である(もっともこちらはやや逆風が吹いている)。

 という中でここであえて注目してみたいのは長期失業者(冒頭の図の青)の方である。これは家計調査の中で労働者自身が当てはまるかどうか答えるものであり、「実際の失業期間が伸びるにつれて伸びてくる」マインドの問題と言えばそれまでだが、リオープンしていけば雇用も早期に元通りにV字回復する希望が剥落しつつあるとも言える。
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 失業者の中の分布変化はこの図が分かりやすい。緑が一時的な失業率、濃いオレンジが長期失業率であるが、緑が柔軟に戻ってきているのに対して濃いオレンジは着実に上昇している。
BLS
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 業界ごとの失業者数と失業率では、失業者数は確かに観光など一時的に閑古鳥が鳴いているだけの業種に集中しているが、失業率の上昇傾向は業界を問わないし、観光だけだけが戻りが鈍いわけでもない。一時的な激しいショックから伝統的な雇用リセッションへに移行しつつあるということか。長期失業が3%に定着し、職探し中の人数がコンスタントに2%いるとして失業率が再び5%を割り込むのは相当先になる可能性がある。
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 一時的にスタッフが減ってもどうも企業運営は回っているようで、働いている労働者の時間あたり生産性は大きく上昇している。それに伴ってか時給も堅調であるようだ。という中で、全ての業種でさて重い腰を上げてもう一回就職するかとなった時に元の鞘に戻れるかどうかに注目である。一方、企業収益やGDPの方は生産性向上の恩恵を受けそうである。
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 カンファレンスボード消費者信頼感(Conference Board Consumer Confidence )はコロナショックで落ち込んでから一度反発したものの、長期失業マインドと連動してか再び低迷が始まっている。
Retail Sales 
Saving Rate
 一方、現実の小売売上高(上図)の実額はペントアップ効果もあって堅調である。もっともペントアップにしても失われた量(面積)のうちの幾分かしか取り戻せていない。収入は7月末までは特例失業給付で上手くカバーされていたようなので、失われた量というのはその分貧乏になって何もできなかったのだというより、小売売上高を裏返したような貯蓄率(下図)が示すように家計にお金が貯まっているという形となるが、8月以降は特例が失効している。延長の議論は民主党・共和党の対立で難航しており、大統領選までは期待薄かもしれない。米国の景気回復はいつものような旺盛な個人消費というよりは住宅建設などが牽引することになりそうである。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。



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