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 SPX Daily
SPX Weekly
 明けましておめでとうございます。

 年末の「閑散に売りなし」としたまま年初に更新せず放置してしまったが昨年末の記事は見事にワークしている。「足元の注目はITバブル再現のための確信犯的な買い上げが続くか、それとも失速して押すな押すなになるかの一事のみであり、ファンダメンタルズであれこれ説明しながら売買する人にとことん損させる相場が続いている」「テクニカルには3645は一時ブレイクされたものの週足が再び下ヒゲ陽線となったため強気トレンドの否定にはならず、ただサポートが3635まで下りてくる。3635が再び下にブレイクされた場合は日足ヘッドアンドショルダーになってしまうためそれなりのインパクトが予想されるが、まだまだ遠い時点からそれを懸念する必要はなさそうである」としていたが、週足下ヒゲサポート手前の3662までの深い押し目がやってきたものの見事に押し目で終わった。

 年が明けると昨年の間に高値警戒感を感じても税金などで利食いたくなかった投資家が年初一番から売ってきた。また1/5のジョージア州補欠選挙を前にブルーウェーブを改めて警戒が入った。大統領選の時もそうであったが、基本まだ日柄がある間は心配する必要がなく、一方大した調整もないままイベントが近くなるとさすがに不勉強すぎる参加者を一回振り落とし、イベントを通過した後に買い直すという流れが続いている。イベントの直前の高値では一回売ってイベントで結果の如何によらず買い直す、というのはざっくり2016年Brexitから続く正解であり、次回いつになるのか分からないが次回の政治イベントの時も似たような動きになりそうである。

 そして実際にブルーウェーブが実現して民主党が上院支配を奪還した形となるが、これは時間外で既に決定的になり、ナスダック先物などは一時下値を掘ったものだが、前日に既に一度警戒の押し目を作ったということで米国時間になるとまともな押し目すらなかった。「60議席に達しない50:51の単純過半数で何ができて何ができないか」を議論しているうちに指数は都合のいい解釈をして戻ってしまい、挙句の果てに実現するかも分からない給付金の増額話も出てきてメルトアップとなった。まさに確信犯的な上げである。ブラックスワンとも言われるブルーウェーブを当てても報われないのだからショートの分の悪さは半端ない。

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 シティのパニック・ユーフォリア指数は2000年のドットコムバブル以上のユーフォリアになっている。まさに本ブログが11月から懸念してきた確信犯的な上げである。
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 クレディ・スイスによるとS&P 500の91%の銘柄が200SMAより上に位置しており、やはりユーフォリア域である。過去にこの水準が来た後に大きく調整したこともあれば調整しなかったこともある。
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 一方企業収益センチメントは引き上げラッシュが終わっており、足元のユーフォリアはあくまでも確信犯的なものである。
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 ポジショニング。12/21に出回った12/15付のものでやや時間が経っているがDBのまとめでは裁量投資家は既に2018年以来のポジションを積み上げており、一方システマティック系投資家は下で派手に切らされたのとVIXがなかなか下がってこないので平常時まで復元できていない。
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 リスクパリティはむしろ大統領選を通過したところで株ポジションを落としている。昨年までの低ボラティリティレジームに戻らないことにはこの辺りが精一杯なのか。一方Volコントロール型は相場が落ち着くたびにポジションの復元作業を進めているが、まだ過去最高水準まで少しだけ距離がある。この辺りの参加者が最もユーフォリアに置いて行かれている形となる。
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 AMとレバレッジファンドのポジショニングはISM製造業に連動することが知られているが、この後に発表された12月の強いISM製造業は一段の積み増しを正当化する形となっている可能性が高い。
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 グローバルの株式への資金流入ペースは11月に記録的なものとなっており、12月はやや減速しているが依然高水準である。これが指数を持ち上げているわけであるが、前回同じくらいドカッと流入したのはトランプ税制改革からVIXショックにかけてなので縁起はあまりよくない。
VIX
 VIXはジョージア州補欠選挙前に一時27まで上昇したが、ブルーウェーブが実現すると再び崩れて22を割ってきている。ブルーウェーブか非ブルーウェーブのどちらかしかあり得ないのだから一体何を警戒していたのか呆れてしまうが、警戒していたのは「値動き」そのものだったのだろう。値動きがなかったを確認して遅れて崩れるようでは足元カナリアとしての役割はあまり期待できない。
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 過去20年のシーズナリティは1〜2月は12月の反動なのか低迷の傾向が強いが、今回は今のところなぞっていない。とはいえシーズナリティと言えばやはり2017年年末のユーフォリアから2018年のVIXショックとの類似性が頭の片隅に引っかかっている。
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 年が明けて金利が大幅に上昇したのもVIXショックの時と似ている。実質金利は十分低いから今回は違うという声もあるだろうが、前回も特段実質金利が上昇したわけではない。今回も1月で月間を通して米金利が20bp以上の大幅な上昇を見せた場合はバブルの持続可能性について警戒する価値はありそうだが、一方リスクパリティがただでさえ株の上昇に乗り遅れているため2018年VIXショックの時のような指数の10%調整を引き起こす火力もなさそうに見える。Fedが金利上昇を受けて一段と債券買入れを増やしてくる(或いはデュレーションを伸ばしてくる)ようなら金利上昇はむしろバブル加速を催促するきっかけになり得るが、今のところ関係者の発言を見てもそのような雰囲気がない。むしろ給付金積み増し主張が挫折して金利が低下するケースの方がその動きになりやすいか。

 テクニカルには再び大きな週足下ヒゲ陽線となっており強気トレンドが続いている。すっかり遠くなってしまったがサポートは3635から3660まで引き上げられる。大統領選通過後も2%程度の振り落としはちょくちょく来ているため、あまり高いコストで新規ロングを作ると右往左往させられそうに見える。逆に高いコストでポジションを作り直すことに繋がる回転売買もできるだけ避けたいため、サポートが遠くなった分細々と引っ張り続けるしかないか。天井を売るのは大変難しいので、天井を通過した後に豪快にぶん投げる決心が付きやすいようにコストを低くキープすることがやはり大事そうに見える。バブルの仕上げとしてはGAFAまでカチ上げられると売り場が分かりやすそうであるが、12月から「利食いが待ち構えていない有象無象のような勢いでGAFAなどもカチ上げられないかなと期待しようにもそういう予感も特にしない」としてきた通り、この辺りは元より機関投資家のクラウディッドポジションとされてきただけあって、バブルが終わるまで乗り遅れ続ける可能性すらあるかもしれない。

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