SPX Daily
SPX Weekly
NASDAQ
 先週のS&P 500は小さな調整となった。先々週より維持してきた「中旬に差し掛かりつつある日柄もあって先週よりは上値追いに対してやや慎重なスタンスに変えていきたい。ただ地合いとしては個人投資家がすっかり抜けてGAFAM中心の上昇となっており、であればマクロな悪材料があっても抵抗力が付きそうな雰囲気が強く、何か起きても急いで下値を叩く場面には見えない。むしろ1~3月と同様の予定調和的なガス抜き調整が来た方が緩やかな上昇トレンドの持続性が増しそうである」の通りになっていると言うこともできるが、中旬という日柄に差し掛かったところの売りはこれまでの各月よりも弱く、中旬をすぎたところでリスクを外すと気持ちは非常に楽になれたものの特に利幅を抜けたわけではない。システマティック勢がまだ待ち構えていたためか、押したところでの押し目買い意欲は強かったようである。先週の記事で取り上げた、金利上昇が止まって「金利上昇に伴うバリュエーション懸念の払拭」というのも下値の堅さに繋がった要因の一部になったはずである。バッドニュースとしてはバイデン政権がキャピタルゲイン課税を提案しようとしているのが二回の日替わり押しのうちの一つの背景となったが、先週の記事で既にリスク要因として挙げていただけあって大したパニックには繋がらなかった。

Discretionary-vs.-Systematic-Equity-Positioning
ISM
 DBのポジショニングは依然、裁量投資家が全力ハッスル中であり、システマティック勢は大きく乗り遅れながらハッスルしている。一方、DBがかねてから言ってきたように裁量投資家のポジショニングはISMに連動するのが特徴であるが、ISM 60超えの呪いを意識してか、DBが珍しくこのチャートの重ね合わせの上にISMのDB予想をプロットしている。裁量投資家のポジショニングは既に過去と比較しても突き抜けており一体どこで反転するのかという形ではあるが、その答えについてDBチームのお気持ちが漏れているようだ。
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 CTAのポジショニングも驚嘆するほかない積み上げ方である。遅れて積み上げてきているリスクパリティ、Volコントロールに玉を渡して後は野となれ山となれという算段だろうか。さすがにこちらもやや不安感が増してくる。
Margin-Debt-and-SP-500
 ハイペースで拡大してきたマージンデットは一度前年比38%以上を付けた後は数ヶ月の高値圏でのじり高を経てからそれなりに大幅に調整することになっているようだ。今回の場合はそれが3Qにかけて懸念になるかとノルデアは推測する。
SP500
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 キャピタルゲイン税については過去の例(1987, 88, 2013年の中間値)がGSによって調査されており、その後のS&P 500のリターンが悪かったわけではない。過去の法人税変動についてもS&P 500の年単位のリターンとはあまり関係がない。一時的な需給イベントを招くことはあり得ても、長期的には指数は他の要因により従って変動するだろう。具体的な増税案は4/28の大統領演説で確認することになるか。バイデン政権のハネムーン期間(100日間)はちょうどそろそろ終わる。
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 ファンダメンタルズのリスク要因として先週の記事で挙げていた「エマージングと中国からの資金流出、また新興国を中心にコロナ変異種の拡大、そしていつ織り込みが始まるか分からない増税」については、一つ目は華融の破綻も先送りになり、また米金利も米ドル相場も落ち着いているため盛り上がらなそうであり、三つ目は実現済で、残る変異種の拡大は引続き要モニターである。
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 今週はGAFAMなどの決算が集まっており、指数が鯨幕をやっている間にQQQから資金が退避している。今のところ決算後のアップサイドはあまりなかったようだが、一旦高い期待が剥落するもののそこが押し目となるというありきたりな展開になるかどうか。
153111
 シーズナリティ。上げ特異月の4月は終わりつつある。

 テクニカルには調整を経て金曜に先週金曜の高値を更新しているが、それによって上に走ったわけではなく、引けにかけて押し戻されている。ポジショニングはピークに向かっているところであり、逆らってショートするとたとえ先週のように珍しいファンダメンタルズイベントを当てたところで得るものが少なかったので引続き不利である。一方で日足鯨幕が続いているので上値を追いかけても少なくとも金曜の現水準ではオッズがあまり面白くない。ナスダックは高値を更新できればティーカップとなるが2月のAAPLを見ても高値圏でのこのシグナルはあてにならない。全てのポジションを外すともし3度目の最高値更新が来た時に追いかけ直すか取り残される覚悟で上げを無視し続けるかという難しい決断を迫られることになるし、一方で押し目があっても大して怖くないので少しは引っ張る方が精神的には落ち着くが、基本的には上値追いは終了として押し目待ちに移行する時間帯か。引続きポジショニングとシーズナリティを考えるとこの先数ヶ月単位ではそこまでアップサイドがないとする見方は維持する。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。