SPX Daily 
 ここまでは誰に予想させても同じ予想になっていた予定調和である。本ブログでも先週の記事では「9月も同じパターンになると決め打ちするのはやや安直に思えるが、19日に反転上昇に転ずるかどうかは別として、19日より前にフライングで押し目買いを入れるよりは少なくとも19日を待ちたい気持ちはある」としており、金曜が安値となったので予想通りになった形だが、連呼していた肝心な19日が日曜だったのを確認し忘れていた。17日はクアドルプル・ウィッチングとFTSEリバランスが重なりGAFAMに売りが集中し、ナスダック100は1.2%という5月以来の下落幅となった。「再び周縁部発のリスクオンに連れられて近付いてきた場合はテクニカルには4520を背にした売り場になりやすそう」は、実際に週間を通してアジア時間が引続き概ね堅調で米株の方が寄り天が多かったため、細かい風景まで完璧だったと言える。

 調整の背景はあれこれ考えるよりもクアドルプル・ウィッチングに向けた月次パターンで思考停止するのが最も綺麗である。「まさか夏以来ずっと懸念として備えてきたものの役に立たなかったデルタ株、面白くない経済指標、テーパリングの組合せを、米銀が言い出した途端にありがたみが出るという展開になるのか」としていたものうち、経済指標は米国小売売上高が堅調であったことからやや後退し、代わりに本ブログで断続的に取り上げてきた中国発リスクオフの要素が少し入ってきたように見える。テーパリング発表が予定されていると言われる9月FOMCを前に金利も低下しづらく、「米金利はレイバーデー明けの起債ラッシュに伴い上昇しやすい時間帯となっている。それもあって金曜はリスクオフ~金利低下からのゴルディロックスにはならず顔面着地感が漂う。やや中期的に見ても指数が2~3%下がった程度ではさすがにテーパリングスケジュールは動かないだろうからこの組合せは不思議ではない」としていた組合せは続いている。

VIX Daily 
NAAIM
HYG 
 指数は50SMAに一週間かけて近付いており、6/18以来のサブ50SMAでの引け値となるが、今のところこの値動きは毎月19日近辺に起きていたパターン通りのものとして認識されており、従ってダウンサイドをヘッジする必要がないためVIXはこれまでの調整で達した水準よりも低いままで推移している。NAAIMも同様に少なくとも木曜時点では予定調和の調整と解釈しているようである。もう一羽のカナリアであるHYGも金利と株のダブル安にもかかわらず依然堅調である。
ISM-Manufacturing-Index-vs.-Discretionary-Investors-Positioning
Net-OW-Equities-vs.-Net-Expecting-Stronger-Economy
 DBの裁量勢ポジショニングとBoA FMSは長期的に概ね似たような傾向を示してきた。ISM製造業は8月分がやや持ち直しておりそれが株センチメントの堅調さの背景の一つになっているはずだが、サーベイでは経済加速への期待が大きく減速している。裁量勢のポジショニング自体は中期的にはどちらのデータを見ても「降り始め」局面にある。
FMS-Cash-Balance-and-SP-500
 FMSのキャッシュ保有率も4%割れからじわりと4.3%まで戻している。逆にこれにより4%割れのBoAの過熱感セルシグナルは消灯したままとなっている。
Equities-Flows
 一方、中のマネージャーがどう思おうと株式ファンドへの資金流入は依然盛り上がっている。やや筋が悪い組合せとなるが、フローに逆らってショートまで振るとストレスが高いのは今年中ずっと続いてきた光景である。
IMG_2519
 周縁部で言うと日本株は引続き「米株が重く日本株中立からのこの展開なら、米株の相対的な重さも9月いっぱい続きそうに見える」としていた通り、キャッチアップ中につき米株の弱さを無視している。一方ハンセンはエバ―グランデ問題のスピルアウトで底割れしている。このスピルアウトが米株に波及するかどうかが今後注目されることになる。

 テクニカルには多くの参加者が注目している50SMA近辺の攻防に引続き注目である。アノマリー的には19日を過ぎたので、これまでのパターン通りなら月曜から反発することになっている。しかし多くて2日しか50SMAにタッチして来なかった今までと異なり今回の50SMAの攻め方はチャート上はややしつこく見える。月曜から反発するならともかく、今週に入って更に金曜の下値割れ(=サブ50SMAの掘り下げ)が続くならここ半年のパターンからの逸脱となり市場参加者は改めてダウンサイドに備え始める必要に迫られそうである。また反発するにしても、本ブログが「近付けば売り場のなる」としていた4520を攻めきれず先週週足上ヒゲ陰線の高値となった4492は新たにレジスタンスになりそう。従って4492を目前にして4400台後半をロングで追いかけるオッズは悪い。思考停止してテクニカルだけで見ると4492をブレイクできたら4430を背にロングを追加して来月初旬までホールドするのがよさそうに見えるが、これはあくまでも惰性である。
SP-500-Performance-vs.-Forward-EPS
 問題は下に割れた時の対処であるが、一旦は長く続いたパターンの打破なので下値余地がそれなりに拡大するとはいえ、50SMAはこの半年で年率25%のペースで上昇してきているので指数がどこかで追い付かれるのは当然であり、上昇トレンドが切れたからと言って次は下落トレンドと決まっているわけではない。下落トレンド入りにはEPS予想がガクッと切り下がりそうと思えるテーマが必要であり、中国不動産業界とその上流下流の今後の景気減速がそのテーマになり得るかどうか。従ってショートで大幅な下落を狙ったり下でぶん投げる用意はしていないが、下で消極的に「対処」することにならないようにするためにも、レジスタンスの手前でポジションを軽くしておくことが重要になりそう。
When-Do-You-Expect-the-Fed-to-Begin-to-Signal-Tapering
5-30
 8月雇用統計が悪かったことから今週のFOMCでテーパリング予定が発表されると考えていたFMS回答者は8月対比でやや後退し、コンセンサスはQ4に持ち越しとなっている。一方、金利の方は週後半にかけて6月FOMC後と同様にフラットニングが進んでおり、あたかもマッシブなタカさに備えている形に見える。カプラン、ローゼングレンの両連銀総裁がQE期を通して全く違法性もなく保有していた株式を、様々な方面から怒られたのを機に売却するとしており、陰謀論的には少し雰囲気が悪い。
Equity clock
 シーズナリティは9月後半から10月初旬にかけてずっと弱い。9月中旬の上昇はなかったがそれでも「反落」の方はいつも通りやってくるかどうかというところであり、いずれにしても逆張りとなる買いは様子見しながら日柄とヘッドラインの消化を待つ形となるか。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。