SPX Daily 
NDX
 S&P 500は週明けこそは一旦4400台の重さを引っ張る形で下値を試したものの、レンジ内では下値も堅く、週後半は反発して上値を伸ばした。先週の記事は4280 -4450レンジを設定したが、実働は4390で始まり4330 -4475となり少し水準が高いレンジとなった。「本格的な上昇追随はやはりこの右肩(S&P 500 4,450, NDX 15,400)のブレイクを待っても遅くはなく、これらの水準の手前は一旦やれやれのリスク整理を行う場に見える」としていたのは余計であり、4450突破で再び買い直すことになる。一方、レンジ内でニュースを見て悲観的になって下値を投げることだけは論外であった。
TNX 
CPI vs UST
US Real Yield
 値動きの背景としてアップルが半導体不足の長期化を理由に生産見通しを引き下げた。金利もインフレ懸念で一時1.6に載せており相変わらずリスクオフに対する債券バッファが機能していない。しかしインフレ懸念で株と債券が同時安リスクがあるということは換言すればインフレ懸念が緩和されれば同時高リスクもあるということで、週半ばに金利が再び低下に転ずると久々にゴルディロックスの様相を呈した。肝心の米国CPIはやや強かったが例のごとくインフレ懸念が和らぐリアクションとなった。実質金利は各国中銀の引締め懸念で一時上がりかけたが再び▲1%まで戻ってきた。たとえテーパリングになっても金余りは改善しないので実質金利が極端に上がることは想定できない。消費者センチメントがどうインフレで悪化しようと小売売上高は堅調であった。
China HY and US HY
 中国民営不動産のデフォルトラッシュは続いているが、モルスタが「ここまで来たらあとは緩和しかない」としていた通り政策は緩和側に振れている。週末には恒大が最初にクーポンを払わなかった米ドル建て社債の1ヶ月Grace Periodが終わるので、それまでに支払いがなかったら正式にデフォルト認定となる。もっとも今までこの手の払う払わないのニュースで少なくともS&P 500は動かされたことがなかったため、先に予想を立てて当てたところで意味がない。中国ドル建てHY利回りの急騰もついに米国HYに伝播することがなかった。

HYG and VIX 
 カナリア達について、VIXは16台と再びコロナ後の安値まで低下した。ハイイールド債は金利上昇で弱かったもののゴルディロックスで反発している。
Citi EIR 
S&P 500 forward EPS
 Citiのリビジョンインデックスはコロナショック以来のマイナス転落となっている。となると指数のアップサイドはセンチメントとバリュエーションの修復によって規定されることになる。一方予想が慎重だった米銀が無難に通過したように足元の決算は悪くない。
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 Citiのエコノミックサプライズは低迷が続いていたが足元で少し反発している。NAAIM
 NAAIMは先週の値動きにもかかわらず更に悲観化しており、高値追いを正当化する。
S&P 500 seasonality 
 シーズナリティ的には7月以来のグダグダ期間が終了して年末にかけて上がりやすくなる。一方、毎月19日近辺に向けて下落するパターンは先月期限をすぎても強かった分、今月はあまり効いていない。今月のオプション失効日は早く先週には通過した。
Inverse ETF
 インバースETFは9月から10月にかけて出来高が盛り上がっていた(普通の指数ETFと違ってETF売り先行で盛り上がることはあまりないため最初の盛り上がりはニューエントリーである)が、足元で急速に盛り下がっている。インバースETFの出来高が盛り上がった水準まで調整した場合は指数のショートカバーニーズが見られそうである。S&P 500日足はリバースヘッドアンドショルダーと言うにはやや汚いが、インバースで見るとヘッドアンドショルダー色がもう少し強い。

 テクニカルには2週間のレンジを経て4450を上抜けており、9月中旬に始まったスタグフ懸念 +中国発諸々懸念の今サイクル調整が終了したことを示唆する。週足は実体が長い下ヒゲ陽線となった。50SMAは一回騙し上ブレイクを経て2度目の上ブレイクとなった。4330はサポートとなる。そこまで上値余地を描けるわけでもないが、とにかく下値が固まったため押し目買いということになる。レジスタンスはアンダーパフォームしていたナスダックの方に残っており、引続きNDXのヘッドアンドショルダーの右肩15400に注目である。ここを突破できない限りナスダックはまだブル転と言えない。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。