JREITの下落が佳境に

 年明け以来一貫して売られてきたJREITだが、7月に入ってからの激しい投げ売りを経てようやく底打ちの兆しを見せている。JREITは2016年のマイナス金利導入で行き場がなくなった地銀資金が流入して高値をつけたと言われているが、その後円金利はマイナス域の沼から脱出し、また株の方が強気相場が続いたためアップサイドの薄い利回り物であるJREITの相対的な魅力は薄れてきた。
 さらに、地銀が証券運用体制について金融庁から叩かれている中、運用難でJREITを購入してきたことが攻撃されるリスクがあり、またREIT投信の多くが金融庁が毛嫌いする毎月分配であるため、当局リスクも警戒されていた。実際、今年4月から6月の差引き売買金額は累計で金融機関が74億円、投資信託が370億円の売り越しとなっている。
 とはいえ、利回りそのものは高いため2017年前半はぶん投げる人は限定的で、値動きが下落傾向ながらも安定していたが、7月に入って高値から10%も下落した水準に達したため、金融機関や個人のロスカット売りがあぶり出されている。7/4に出たMUFGがJREIT融資債権を証券化してリスクを圧縮というヘッドラインも、金融機関の幹部のロスカット決断の助けになったと思われる。

チャート

1343 Chart
weekly
  JREIT連動のETF (1343)の年初来の値動きと出来高。上が日足、下が週足。一般的に資産価格下落の最終局面ではあぶり出されたぶん投げと新規の資金流入がぶつかり合うため出来高が急増するが、その兆候が見られる。週足チャートは、2016年1月にマイナス金利導入後に購入した全ての保有者が含み損に近づいていることを示す。

海外との比較

GlobalREIT
 このようにホルダーが神経質な状態に置かれていたことから、世界中でトランプ相場の金利上昇局面が一服してゴルディロックに入り、欧米REITが反発する中でも日本のJREITは取り残されていた。マクロ環境から見るともっと強くてもおかしくない。

Market
配当利回りと長期金利のスプレッドで見ると日本のJREITは諸外国よりも割安である。

バリュエーション

yields
JREITの分配金利回り(予想ベース)。アベノミクス初動以来ずっと3%台の利回りだったのが、初めて4%を超えている。 
JREIT yield 
1343の分配金利回り(実績ベース)。こちらは3.25%程度だが、やはり2016年と比べて急激にピックアップしている。

NAV 
NAV倍率の推移。NAV(Net Asset Value, 一口あたりの純資産価値(=資産 - 負債))はアベノミクス初動以来初めて1倍に近づいている。REITの個別銘柄では1割れのものも散見される。NAVは株で言うPBRにあたるもので、1倍割れは証券が割安に取引されているか、将来の原資産価格の下落を織り込んでいる状態を示唆している。

所見

 上の諸指標はアベノミクス初動以来JREITが初めて割高でなくなったことを示している。NAV倍率が1倍に近づいていること、予想分配金利回りが4%を超えていることから投資妙味がある。短期的には、諸外国REITと比べて出遅れており、また先週の出来高急増からの今週の大幅反発が大口の投げが終了したことを示唆している。長期的な懸念材料としては、依然はまっている個人が多そう。日銀も諸外国に続いて出口に向かい、円金利が引き上げられるようならJREITの要求利回りも上昇していく。また、都内を中心にオフィスの竣工が多数控えており、賃料が圧迫されるリスクもある。従って2016年の天井まで戻る可能性は薄いため、拾う際には水準にこだわりたい。 

この記事は投資行動を推奨するものではありません。



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