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米金利と米中景況感の相関 : 金利とセンチメントから資産価格を考えるブログ

ここもと米金利の急低下が話題になっている。米景気が全く問題なさそうであり、ISM製造業を始めとする諸指標と米金利の雰囲気が大きく乖離している。ここではISM製造業と米金利のどちらが先行指標であるかを調べてみた。



 米長期金利が2.0台からようやく2.1台に戻ってきた一週間前、上の記事で米国ISM製造業と中国PPIと米金利の関係を分析し、「米金利だけが正しく暗い先行きを織り込んでいる」可能性を排除した。そこから一週間で米金利は2.2を超えてきている。米金利は珍しくISMから乖離したCPIに注目しているというのが所見だったが、その後発表されたCPIが前年比1.7から1.9と切り返したため、CPIによる雑音もなくなった。この結果、もし米金利がISMとの連動を取り戻したらどうなるだろうか。

 
    CPIが一人低下する前の、2016/6から2017/5までの12ヶ月間のISMと発表前日の米金利を並べ、ISMをx、米金利をyとして簡単な単回帰分析を行うと

 y = 0.1292x - 4.9125  R = 0.79, R2 = 0.62

 を得る。これに2017/9のISMである58.8を代入すると、対応する米金利は2.68となる。つまり過去1年間のISMとの関係から逆算すると米金利のフェアな水準は2.68ということになる。決定係数は0.62である。なお、12ヶ月はサンプル数として少なすぎる気もするが、上の記事で可視化されているように、直前3年や5年と比べても1年間が最も相関が良い。念のために2014/6から2017/5までの36ヶ月間を取ると、

 y = 0.0583x - 0.9957  R = 0.52, R2 = 0.27

 となり、フェアな水準は2.43となる。ただ、R2 = 0.27なので精度はだいぶ下がる。

 次に2016/9から2017/8までの米CPIと米金利の相関を取ってみると、

    y = 0.4223x + 1.4425.     R = 0.71, R2= 0.51

    となる。これに2017/9発表の最新CPI 1.9を代入すると、2.24を得る。つまり過去1年間のCPIから見ると米金利のフェアな水準は2.24となる。決定係数は0.51。

    上の結果からものすごくざっくりと考えると、今の米景気から算出される米金利は2.24 -2.68の区間となる。もちろん、どちらの説明係数も0.5〜0.6程度にすぎず、かつバックミラーの分析なのでお遊びレベルだが、今の米金利が2.21であることを考えるとだいぶシビれる結果である。

この記事は投資行動を推奨するものではありません。