【インサイト】襟を正す日本株式会社にはご褒美も、忍耐強く見守って

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)はここ3年余り、環境、社会的責任、企業統治(ESG)のスコアの高い日本企業株に投資してきた。7月の発表によると、GPIFは既に35兆円の日本株ポートフォリオの3%を3つのESG指数に投資しており、10%まで増やす計画。


 ESG投資とは環境(E、Environment)・社会(S、Social)・ガバナンス(G、Governance)の要素に配慮した投資であり、最近世界中の長期投資家の中で流行っているらしい。このBloomberg記事によると、「TOPIXの中で取締役会での独立役員の割合が高い上位10%の銘柄に投資し、イコールウエートとして毎月調整した場合、TOPIXのリターンを33%上回っていた」「取締役会の女性の比率など、企業統治に関する別の指標を使っても同様の傾向が示される」そうだ。「正しい統治を行う企業」の株価は上がりやすいというわけだ。
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 では「正しい統治」を行う企業が善であり、その企業に投資を集中するのも善なのか。「このアルファは1年余り前に表れ始めた」そうだが、このわずか1年で世の中に何か構造的な変化があったのだろうか。

 1年前に何が起きたかというと、2016年7月にGPIFがESG投資のベンチマークとなる指数の公募を行っている。それに先立ってGPIFは2015年にはESGを投資プロセスに組み入れる「責任投資原則」(PRI、Principles for Responsible Investment)に署名している。つまり、2016年を境に「GPIFがESG投資を始めるらしい」という話が流れ、様々な投資家が該当銘柄と思われる銘柄に先回り投資して持ち上げたのがこの話の背景ではないか。

 実際、当然ながらこの1年で収益が大きくアウトパフォームできるわけではない。「このESGポートフォリオの銘柄の予想株価収益率(PER)は平均で23.7倍と、2年前の16.5倍を上回る。TOPIXの同比率はほぼ横ばい」だそうだ。これは33%のアウトパフォームはほとんど、投資家の期待の高まりによるものであることを意味し、上の推測を補強する。2014年の株式の構成比率引き上げに続き、またしてもGPIFはGPIFの行動を先回りする投資家に対してアルファを提供したのではないか。この記事の一番の教訓は、図体の大きい投資家は、市場に大きな影響を及ぼし得る行動を起こす際には、盛大に触れ回ってじっくりと選定するよりも秘匿性を保つように最大限の努力をすべきだ、ということである。

 なお、GPIFのESG資料はなかなかに読み応えがあった。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。



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