中東最大の専制独裁国家サウジアラビアから斜め上のニュースが続いている。カタールとの断交に続き、アラビアのバフェットと呼ばれ、シティグループの大株主であり、アラビアマネーの象徴だったアルワリード王子が、先日設立されたビン・サルマン王太子がトップを務める反汚職委員会によって拘束された。

Billionaire Saudi Prince Alwaleed Bin Talal arrested in corruption crackdown: Local reports

Saudi Prince Prince Alwaleed Bin Talal, a prominent member of the county's royal family and a wealthy investor, was arrested on Saturday in connection with a wide-ranging anti-corruption initiative, according to local reports. Saudi Arabia's King Salman removed a host of prominent officials in a sweeping crackdown on Saturday, in which dozens of princes and former ministers were detained.

 アルワリード王子といえばリーマンショックの最中に潰れそうになっていたシティグループの株を買い増し、一時は世界を救った男に近かった。全くプロでなかった筆者もそれで「米企業がどんなに危機に陥っても中東のオイルマネーが支援してくれるんでしょ」というイメージを持っていた。アルワリード王子の父親が既に王位継承権を放棄したので後継者争いではないが、一族の中で心を泥水で洗う権力逃走劇が上演されていることは間違いない。

 サウジアラビアの迷走感は、6月にサルマン国王(81)が甥のムハンマド・ビン・ナエフ王太子(57)を解任し、新たに息子のムハンマド・ビン・サルマン副王太子兼国防相(31)を王太子に昇格させた時点から始まる。それまではただの米軍に守られた、イデオロギー色と存在感を消した専制国家であった。しかし、よくも悪くも時間の流れが加速しつつあるように見える。一般的に、専制国家が国内外で敵を作りながら急進化するのは避けるべきであり、逆にそのために改革が多少遅れても致命傷にならない。それほど成功したとも言えないイエメンへの軍事介入の後遺症で、昨夜もイエメンのシーア派武装勢力が首都リヤド近郊の国際空港に向けて発射した弾道ミサイルの迎撃を余儀なくされており、まさに内憂外患である。

 革命にでもならない限り、サウジアラビアの迷走が先進国の資産価格に影響を及ぼす可能性は低いが、政情としては専制国家仲間の中国や北朝鮮よりもずっと不安定であることを一応心に留めておく必要がある。

この記事は投資行動を推奨するものではありません。



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