10月末の記者会見では年6兆円のETFの買入れの継続性についての質問が多かったが、黒田総裁は「過熱感はない」「大きな問題があるとは思えない」と突っぱね続けた。が、本日に発表された10月会合における主な意見では「ETFをはじめ各種リスク資産の買入れについては、政策効果と考え得る副作用について、あらゆる角度から点検すべきである」という声も確認された。
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日銀内でもETF買いの副作用懸念 10月会合主な意見

日銀が9日公表した10月30~31日開催分の金融政策決定会合の「主な意見」で、株価指数連動型上場投資信託(ETF)などのリスク資産の購入について政策委員から副作用を懸念する声が出ていたことが明らかになった。9日午前の日経平均株価が節目の2万3000円を約26年ぶりに上回るなど足元で株価が急騰を続けるなか、日銀内部でもETF買いの必要性や正当性に懐疑的な見方が表面化してきた。 ...

 木内さんの退任をもって、タカ派野党委員はいなくなったはずであるので、この話はやや重みがある。マイナス金利が非難轟々な中、2016年8月に日銀が「量的・質的金融緩和政策の総括的な検証」を予告した後、2016年9月にYCCが始まったことを思い出すと、もし本当に一旦点検が始まったらそれなりに素早く何らかの結論が出ると見るのが自然である。もっとも、会合後の8日の布野審議委員の講演でもETFの質問が目立ったが、「変更の必要性を感じていない」と牽制している。

 確かに常識的に考えるとここまで株が高騰し、多くの参加者が押し目を欲している現状では、「リスクプレミアムの圧縮」という名目は立ちにくくなっている。一方、買入れを縮小すると「日銀は株が高いと思っている」というアナウンスメント効果があり、次は売りに回るのを織り込み始めるかもしれない。もっとも、機動的な運営さえ認めれば、下がったらまた増額すれば良いので広い意味での日銀プットを健在に保つこともできる。日銀がETF買入れを縮小し、できた押し目で国民が広く購入するというのが理想だが、果たして。

この記事は投資行動を推奨するものではありません。