USDCNY
 9日、中国人民銀行は人民元の基準値を定める時に値付け銀行に求めていた「反循環因子(Counter cyclical factor)」の適用停止を決めたと、各報道機関が報じた。2017年5月に導入された反循環因子の内容はややわかりにくいが、以前の記事で書いた通り、

 「これは直訳すると市場のモメンタムに逆らって基準値を決めるというもので、早い話、人民元高方向に動くのが「正しい」のに市場が「間違って」人民元安方向に動いた時にそれを「是正」する。2015年8月のチャイナショックを招いた基準値算出法改革では「市場の前日終値を参考にする」、つまり人民元安方向に動いたとしても基準値も逆らわずに追随するものであったのに対して、今回の再変更は介入の再強化である。」 

 ということだ。従って、反循環因子の適用停止は人民元高誘導の停止と脊髄反射できよう。「むしろ今は一方的な人民元高トレンドだから反循環因子は人民元安方向に作用するのではないか」などと解釈するのはもちろんナイーブすぎるが、実際人民元高局面で適用終了と言われても金融機関としてはやることはなく、ファンダメンタルズも変わっていないため、蓋を開けると特段人民元安要因にはなっていない。ただAUD相場は敏感に反応しており、AUDJPYの下落トレンドが始まったのはこれがきっかけであった。

AUDJPY

関連記事

中国が新年恒例の外貨規制強化を発表
人民元国際化が後回しにされる
李克強指数に続いて中国PPIも低下
2017年10月の李克強指数が久々の急低下
理財商品の元本保証禁止という当たり前な規制が始まる
消費者ローンで住宅を買うという狂気
中国が地方インフラ開発を1000件近く中断させる
金利上昇が上海株に何度目かの揺さぶりをかける
中国不動産投資がさらに冷え込む 
中国の景況感がやや足踏み
中国のマイクロコントロールがいよいよ計画経済の域に
PBOC引締め(5) 重厚長大産業の減速
PBOC引締め(4) 中国不動産バブルの沈静化
PBOC引締め(3) インターバンク狙い撃ち
PBOC引締め(2) チャイナショックを振り返る
PBOC引締め(1) 人民元相場の安定化

この記事は投資行動を推奨するものではありません。