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 長らくドル円と米国10年金利が連動すると思われていたのが、米国の税制改革可決以来、大きく乖離していることが話題になっている。筆者も2018年にドル円が110円を割ることはないだろうと思っていたのがわずか20日で外れてしまった。米金利とドル円が相関するという前提の下に取引していた参加者やプログラムにはディザスターだっただろう。筆者は早い段階からこの乖離に気づいていたが、当初は日銀のステルステーパリングのせいにしていた。ところが、日銀がステルステーパリング疑惑の払拭で満額回答を出しても円高ドル安は止まっていない。その後ムニューシン財務長官のドル安容認発言も材料視されたが、為替が金利を無視して口先介入だけで動くのは難しいので材料としては今ひとつだ。かつての日銀は実弾介入を行っても円高を食い止められなかった。
USD vs breakeven
10 year real yield
 一つの解釈は、米金利(10年名目金利)の上昇は実質金利の上昇ではなく、インフレ期待の上昇に由来するためというものである。上からドルインデックス、インフレ期待を表す米国10年ブレークイーブン、米国の10年実質金利(物価連動国債利回り)を示した。うち、ブレークイーブン(足元で2.1程度)と実質金利(足元で0.5程度)を足し合わせると名目金利(足元で2.6程度)となる。

 インフレ国の通貨は長期的に減価するというのだ。高金利の新興国を見ていると確かにそうだという気もするが、サブプライムショック以来ずっと先進国の金融政策に振り回されてきた筆者としては「インフレ国は金融政策が引締め気味になるから通貨高、デフレ国は金融政策が緩和気味になるから通貨安じゃないのか」というのが素直な感想である(なお新興国はインフレになると財政運営が詰むので金融政策を引締めても通貨が下落する)。確かにブレークイーブンとドルインデックスを10年間並べてみると綺麗に鏡像になっている気がする。逆に、実質金利とドルインデックスは弱いながら正相関に見えなくもない。いや待て、2016年年末のトランプ相場の時にはブレークイーブンとドル相場が同時に上昇したではないか、と言われると、その時には実質金利の上昇が効いているという解釈になるだろうか。

 逆の解釈もあり得る。2015年ではECBと日銀という悪の枢軸のせいでドルが独歩高になった「結果」デフレ圧力がかかった。ただ今回に限って言えばドルの下落が先にあって、それを見てインフレ期待が高まって債券が売られたのかというとそういう流れでもない気がする。筆者の手元の教科書では、財政拡張は高金利により通貨高と輸出不振を招き、結局長期的にはGDPに影響を及ぼさないという、クラウディングアウトの亜種みたいのが起きるしているが、これはおそらく間違いなのだろう。

 そういえば仮に日本政府が減税、財政拡張を決めたとなると、やはり円と日本国債の下落と日本株の上昇が素直な反応となるだろう。あまり深く考えなくても良いのかもしれない。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。



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