S&P 500
 米株が狂い上げしている。去年から景気循環調整後の株価収益率(CAPE Ratio, 俗に言うシラーPER)が30を超え、割高であると言い出す人が増えているが、2018年に入って割高なものがどんどん上昇して更に割高になっている。
Shiller
 注目すべきは、シラーPERが真っ直ぐ上昇する場合の値幅だ。時間軸でいうと確かに世界恐慌前もITバブルも高々数年のタワーとなっていたが、値幅で言うと逃すとだいぶ痛いものとなっている。もし世界恐慌前の30を基準に2000年前後に割高として売っていたら、指数ベースで50%程度の上昇を逃したことになる。バブルが恐ろしいのは、結果論ではどうとでも言えるが、バブルの間に乗りそびれると非常に強いストレスに晒されることだ。通貨の下落、周囲との格差。機関投資家なら再起不能だ。たとえ数ヶ月単位でバブル崩壊を予想できたとしても、崩壊する前の値幅で心が折れるだろう。バブルの時が最も調整幅も小さく安全であり、また乗りそびれると崩壊途中に押し目を拾ってしまいやすくなる。

 ただ、バブルだとわかっているならここから肝が据わった長期投資は避けるべきだ。世の中では株が割高になると「長期投資なら多少のドローダウンに耐えられれば必ず戻ってくる」「長期的に3%, 5%とリターンが見込める」などと煽り出す人が増えてくるが、割安の時に彼らが何をしていたかは定かではない。際限なく上がる局面では上がると精神的に辛くならない、また下がっても痛くならない程度に縮小したロングを持ち続け、どこかでスピード調整するのを待って押し目買いに徹するしかない。我々はジーニアスではないので、都合よく天井で売って下で買い戻せる可能性は高くない。

 なお、パッシブ運用(=目を瞑って全株フルロング)の隆盛と、ボラティリティが上がったら投げれば良いというクオンツ丸投げのリスク管理が増えているため、崩壊する時はボラティリティ上昇→クオンツのインデックスポートフォリオ投げ→ボラティリティの上昇というスパイラルになるだろう。そしてその時に多くの参加者は相場が急変してもドローダウンした場面で売るという発想が取れなくなっていることだろう。今よりもその時に警戒を保っている方が大事である。

この記事は投資行動を推奨するものではありません。



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