イタリアの総選挙から2ヶ月間の組閣交渉を経て、結局極左の五つ星運動と極右の同盟(旧・北部同盟)が連立することになった。選挙結果そのものは前回の記事に詳しい。当時から五つ星運動と同盟を排除した中道中心の組閣は不可能であり、下手したら再選挙と書いていたが、それでも可能性が低いとしていた極左極右連合が爆誕してしまった。
 
 振り返ってみるとこの選挙結果のポイントは「あれだけ期待されていたベルルスコーニが出オチだった」ことである。その上で同じ敗者であった旧与党・民主党がなぜか個性を出して五つ星との連立を拒否したため、五つ星・同盟の連立か再選挙しか選択肢がなくなっていた。ベルルスコーニは当初「同盟も入っている中道右派連合の盟主」として五つ星との連立に反対していたが、結局自らのフォルツァが弱小政党であることからあまり発言権がなく、結局追認する形になった。中道の政治家たちは、どうせ極左極右の連立では長く保たないので、変にポピュリストに頭を下げるよりは野党として今期をやり過ごそうと考えた可能性が高い。

 さて政策。首相の人選はコンテ教授と言われているが正式にはまだ未公表である。両党の政策の目玉はとにかくバラマキだ。イタリアは政府債務残高の大きさが特徴であり、ここで更に歳出が拡大するという憶測は国債投資家を慌てさせた。残存が短い2年債も5月中に50bp以上売られて一気にプラス利回りになった。もっともだいぶ前に民主党が五つ星との連立を拒否した段階からこのメンツの連立か、再選挙で同じ結果を出すか、の二択だったため今更感もあるが、キャリーが厚い周辺国国債は基本的に全てのグッドシナリオが消えて初めて売られるものだ。なお、景気や銀行の不良債権問題を放置したまま財政緊縮に走っても明らかに上手くいかないので、バラマキが不正解であるとも必ずしも言えない。政府債務が大きいとは言ってもデフォルトを想像させるような水準ではない。キャリー源に苦しむ世界で財政が放漫な高金利国家が欧州に一つくらいあっても良いではないか。先日、両党がECBに対して保有国債の債務減免を要求したとのヘッドラインが流れたが、直ちに世界中から総スカンを喰らい撤廃を余儀なくされた。日本にも「日銀が保有する国債は返さなくて良い」「金融緩和によって財政再建は既に完了している」と主張する声が一部自称専門家であるようだが、一応イタリアの両ポピュリスト政党の方がまだ良識があったわけだ。
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  EU離脱云々はまだ連立政府の議題に上がっていないが、もし彼らの歳出拡大策に対してEUが強硬に干渉してきたらそういうリアクションが取られる可能性もある。そうするとグローバルでリスクオフ要因になり得るが、今の段階ではまだイタリア一国の問題にすぎない。

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