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 地銀や運用会社に厳しい目線を向けてきた金融庁の森長官がついに退任するそうだ。森長官のキャラクターは以前の記事に詳しい。昨年の夏は2年待ってようやく一息付けるかと思っていたところでまさかの異例の3期連任になったので金融機関の方々は生きる心地がしなかったようだが、さすがに今年に入ってからは地銀経営のロールモデルとして推しに推していたスルガ銀行が不正融資スキャンダルで世間を騒がせたこともあって4期連任はないと見られていた。すかさず掌を返してスルガ銀行に厳しく当たったものの、無謬性についた傷は直しようがなかった。
 
 遠藤俊英監督局長(59)のキャラクターは例の森長官暴露本に詳しい。銀行フレンドリーなイメージがあるらしく、「遠藤長官待望論の銀行業界人は少なくない」という。御名でGoogle検索をかけると真っ先に出てくるインタビュー記事でも「金融庁が金融機関に対して、あまりにも強い立場にあることも問題だと考えています」と、今までの立場が強すぎる森金融庁スタイルがガラッと変わると期待させる発言が目に飛び込んでくる。元々疑問の余地もないトップ候補だったのだが、森長官と「仲が良いとは言えず」という中で森長官体制があまりにも続いたため、対抗馬の氷見野良三金融国際審議官に追いつかれつつあったという。

 森長官がいなくなるとまず連想されるのが「地銀の証券投資」「毎月分配投信」への攻撃がなくなることだろう。内外REITや米国債(インパクトがあるか怪しいが)の需給にはポジティブ要因に見える。地銀は2017年3月と最近の二回のように米国債を最も安い水準で投げさせられることもなくなり、収益にポジティブ要因となる。とはいえ、だからと言ってマイナス金利による本業の収益低下をカバーできるほど外債投資で爆益を出せるようになるわけではない。地銀ビジネスに関しては、金利が上がるか、公正取引委員会が合併を妨害しなくなるか、または口座維持手数料を徴収し始めるかの三つのうちのどれかがないと慢性的に苦しい環境は変わらない。また、「仲が悪い」とはいえ二人が政策面で対立いたわけでもないので、長官が変わったからと言って金融行政方針に劇的な変化に過大な期待をかけるべきではない。

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