米国の金融政策に焦点が当たる中、Fedが参考にするであろうCPIの数字にも注目が集まるようになっているが、CPIは経済指標の中でも最遅行であり、最も予想しやすいはずのデータの一つである。自分でチャートを作るほどでもないので、TradingEconomicsの10年チャートをペイントで切り貼りした二枚の絵を描いてみた。
CPI GDP growth

 まず名目GDP成長率(Quarterly、上)と、その6四半期(18ヶ月)後のコアCPI(下)である。綺麗に谷と山が一致している。この相関に基づくと今後1年半、コアCPIは2%近辺で推移し続ける可能性が高い。
ISM CPI
  次にISM製造業景況感(上)とその2年後のコアCPI(下)であり、こちらもよく一致している。ISMベースでは今後1年半でもう2%をボトムにもう少し物価が上がる余地があると予想できる。

 まとめるとコアCPIはGDPに18ヶ月遅行し、ISM製造業に24ヶ月遅行するということだ。これは当たり前で、まず景況感が好転して企業は設備投資を開始し、人をも雇い始め、そのうち人手不足気味になって賃金を上げるので消費も増える。悪化の場合はこの逆であり、非常にシンプルな話である。この関係を見てもインフレは好景気の結果であり、CPIを異次元金融緩和などで人為的に持ち上げても(持ち上げられたとして)、期待インフレによる設備投資やら消費やらでGDPが追いかけてくるようにはとても見えない。

 また、2017年中盤以降のCPIの下振れは2015年後半のGDP及びISMの悪化が遅行してインパクトをもたらしたものだ。毎月の指標の短期的なノイズを当てられないのは仕方がないが、その18-24ヶ月も遅行してやって来た谷を捕まえて「Amazonificationのようなパラダイムシフトが来ており、構造的に物価が上がらない時代がやって来た」などと触れて回った市場参加者には猛省を促したい。