China social finance
 以前の記事でも中国の金融政策が緩和的に傾く可能性について記したが、社会融資総量も話題になった5月の急激な落ち込みから早速回復を始めている。固定資産投資の方は政府が財政緊縮を続ける間は厳しいだろうが、金融政策でカバーできる社会融資総量の方はクラッシュ要因から遠ざかりつつある。 
 
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 調達手段別の内訳をみると、真ん中の二つ(Trust loan, 信託貸付、Entrusted loan, 委託貸付)といったシャドーバンク関係は減少が続いているが、代わりによりまともな調達手段である銀行貸付と社債発行が増加に転じている。こちらの英文記事でもジャンク債発行体が銀行借入れにシフトしていることを報じている。銀行には当局からシャドーバンクの整理と共に貸付を拡大するよう圧力がかかっているかもしれない。現にロイターの記事は「人民銀は市中銀行向けの流動性促進策を導入する方針。銀行に融資拡大を促し、地方政府傘下の資金調達会社である融資平台(LGFV)や企業などの発行する債券への投資を増やすのが狙い」「人民銀は中期貸出ファシリティー(MLF)により豊富な流動性を供給することも確約しており、特に「AA+」以下の格付けの債券に投資する金融機関を対象にしているという」と報じている。今後も貸付やジャンク債の購入拡大圧力がかかる可能性が高いだろう。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。