トルコリラの暴落はつい先週までただのギャグだったのだが、金曜にFTが「欧州銀行のトルコエクスポージャー」について取り上げたため、トルコリスクは一気に他の市場に空気感染した。
こちらがBISが公開していること各国のトルコへのエクスポージャー。スペインが823億ドルでダントツトップ。フランスの384億ドルが続き、イギリス、アメリカ、ドイツ、イタリアに続いて日本も140億ドルでランクインしている。もっとも日本の場合はどこかの銀行が、というより個人が占める割合が高そうだ。
FTから名指しされたスペインのBBVAとイタリアのウニクレディトはそれぞれ急落した。通貨の急落により、為替リスクを残していたトルコ企業が外貨建てで債務超過になってデフォルトするリスクは増大したが、足元のトルコの不良債権比率は3%とまだまだ低い。ただ、国際金融市場は常に局地的なリスクが他の地域に伝染すると言う話が大好きだ。エクスポージャーが不明なら盛り上がりようもあるが、BISが最初から総エクスポージャーを公表している以上、織り込むものはもう織り込まれているのではないか。
リスクが見えていなかった参加者は一回反省のために振り落とされることになったが、ここから本格的に欧州銀が連鎖的に金融危機を起こすとは考えていない。またトルコリラ金融危機そのものも、米国人牧師を一人釈放して利上げすれば終わる話に見える。トルコが急に反米国家になったようにも見えるが、所詮はNATOの内輪もめである。
なお、スペイン銀行の方がエクスポージャーが大きいのに、スペイン国債よりもイタリア国債の方が今回のショックでの売られ幅が大きいのはご愛嬌である。図は10年のスペイン・イタリア国債スプレッド。敵はローマにあり。
関連記事
何も悪くない南アがトルコリラに道連れにされるこの記事は投資行動を推奨するものではありません。