
春に吹き上がって大騒ぎになったLIBOR -OISスプレッドがすっかり低位に戻ってきている。社債やCP発行企業の資金調達コストを金融政策から乖離して引締める効果を持っていたのでリスクオフ要因として取り沙汰されていたが、春に60bpもあったスプレッドはいまや20bp台まで低下してきた。

3ヶ月LIBORは春に騒ぎを起こした時から水準が変わっていない。

3ヶ月LIBORは春に騒ぎを起こした時から水準が変わっていない。
4月にLIBOR-OISスプレッドの拡大を紹介した記事で既に
この米株に悪影響を及ぼした短期金利上昇とも短期クレジットクランチとも言える現象は長く続くのかというと、そうとも思わない。チャイナショックの時は、中国が通貨防衛で米国債を取り崩すリスクが一時話題になったが、外貨準備のドルは中国政府が持っていようと(ドル預金に走った)国民が持っていようと何らかの手段で運用されることに変わりはないため、ほとんど波風が立たなかった。今のレパトリエーション騒ぎも同じだ。企業財務部が海外で運用していたドルを取り崩して米国内に戻した後は何に使うのかというと、まさか今さら巨額の設備投資を行うわけにもいかないだろうから、結局米国内で短期債やCD,CPで運用されることになって元の木阿弥になるのではなかろうか。世の中にあるドルが消滅したわけではない。
と、米ドルが海外から米国内に回帰しても消滅するわけではないのでいずれまた短期債に再投資されることになり、クレジットクランチは長く続かないだろうと予想していた。それが数ヶ月後経ったいま実現している。Bloomberg記事によると、海外からレパトリされた企業の手元資金はプライムファンド(CDやCPなどのクレジット物にも投資するMMF)に戻ってきており、7月以降のTビルの発行を飲み込んで短期金利を低下させたという。OISはFedの利上げが続く限り淡々と上昇するので、LIBOR-OISは押しつぶされた。
市場参加者の中には減税などで今後も続くTビルの発行増を理由にLIBOR-OISスプレッドの再びのワイドニングを予想している声もある。それも一理あるかもしれないが、一回荒れてから注目を浴びなくなったベーシススプレッドであれこれ予想を立てて動くのは賢明ではない。いま大事なのは、春から夏にかけて話題になった米ドルのファンディング環境の引き締まりが終わったということである。
話題のLIBOR-OISスプレッドが戻りつつある件
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市場参加者の中には減税などで今後も続くTビルの発行増を理由にLIBOR-OISスプレッドの再びのワイドニングを予想している声もある。それも一理あるかもしれないが、一回荒れてから注目を浴びなくなったベーシススプレッドであれこれ予想を立てて動くのは賢明ではない。いま大事なのは、春から夏にかけて話題になった米ドルのファンディング環境の引き締まりが終わったということである。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。