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    リスクオフの円高がだんだん死語になっている。Bloombergによると足元のVIXとドル円の相関はマイナス0.22と、16年半ばのマイナス0.60に比べ逆相関が薄れている。端的に言うと何らかのショックでボラティリティが上がっても円高に行きにくくなったわけだ。
 

海外投資という今更な話題

    Bloomberg記事は背景として「海外の成長を取りに行くような投資を事業法人も投資家もせざるを得ない状況にある」と生保などの海外投資を挙げている。冒頭のチャートは確かにここ10年にわたって生保の海外投資もドル円も右肩上がりであったことを示している。しかし、よく見ると特段連動と言うほどの連動はない。「世界の成長を取りに行かねばならない」のは日本の人口が減少に転じた時から一貫しているはずだ。その息の長い話題に対して、円高になりづらくなったと感じるのはせいぜい今年の春以降だ。我々は毎年大手生保各社の資産運用計画を見守ってきたし、彼らは毎年海外資産を増やしている。増やしているが蓋を開けてみるとほとんど為替ヘッジ付きでレートにニュートラルだったことも多々あった。

日米金利差

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    日米2年金利差の方が明らかに「足元の」円安を説明している。為替ヘッジは短期金利差とプレミアムの分だけコストがかかる。3%近くも金利差があれば年間通して3円近く円高にさえならなければヘッジしない方が良い。プレミアムもヘッジャーは払う側である。従って総額が変わらなくても金利差を見てヘッジを止める、ないしは止めようとする投資家が増えればそれだけで相場は動く。元々、ドル円が日米金利差、ひいては米金利を見ながら動く動力の源泉もそこにあるはずだ。

    実際、2018年度になってヘッジコストの高騰により大手生保が為替ヘッジを外し始めているのは春のロイターの記事に詳しい。そろそろ死語になっていたスワップ金利狙いのFX投資が復活するか。

この記事は投資行動を推奨するものではありません。