3ヶ月にわたった水平レンジの上限23,000を突破できた日経平均指数は出来高を伴って上方ブレイクしている。これは教科書的なフォロースルー(Follow through)のチャートパターンである。
フォロースルーと出来高
「フォロースルー チャート」で検索すると真っ先にこの図が出てくるが、まさに冒頭の今年の日経平均を描いたような図である。底打ち上昇から一旦調整に入った後、その調整期間から出来高の増加を伴ってブレイクアウトすることをフォロースルーと言う。
ブレイクに伴う出来高の増加は、レンジプレイを決め込んでいた参加者の重い利益確定売りオーダーを、強気な投資家達が実弾買いで全て食い尽くしたことを示す。途中からレンジプレイ側からも裏切りのドテンロングも入っていることだろう。出来高はレンジブレイクが本物であるかどうかを測る一つの目安である。一部の市場参加者が薄いマーケットの中で売りの居ぬ間に洗濯とばかりに仕掛けで上を突っついただけの場合は、誰も付いて来ずブレイクが失敗に終わる可能性が高い。また仕掛けた本人達もすぐに利食いたくなるだろう。逆に大勢が参加した場合は中々に再逆転しづらい。
買い残は長いレンジで消耗された
春先のラリーで積み上がった裁定買い残(先物売りを噛ませた現物株のロングポジション)が、長いレンジで徐々に消耗し、振り落とされたのがよくわかる。その結果6月ならともかく、今なら上にブレイクしても潜在的な売り圧力は重くなさそうに見える。
VIもレンジ脱却を示唆
「日経平均株価と日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)が同時に大きく上昇」したのを材料視する声もある。「日経平均の1%超の上昇と VIの3.5%以上の上昇が同時に起きる現象が、アベノミクス初期段階の2012年10月~13年4月に頻繁にみられた」そうだが、上昇局面のVIの上昇は、指数が大して上がらない(レンジ)と思っていたのが、指数の上昇と共に市場参加者の目線が一気に広がったからコールオプションの売り手が踏まされているということだと思われる。アベノミクスの初期でも想像が付かなかった水準への目線の切上げは頻繁に起きていたことだろう。当時とある景気応援アイドルユニットは日経平均水準によってスカートの丈を短くしていくと公約を掲げたところ、想像よりも指数が素早く上がってしまったため、デビューからスカートなしになってしまったのを思い出す。話が逸れた。というわけで出来高を根拠に上方ブレイクを本物と考えるなら、ここから関税などの悪材料で下押ししても調整の押し目と見なして良さそうだ。
関連記事
相場転換点の「サインはVI」 日経平均、上昇基調入りも金利上昇で割安株相場というか銀行株相場というか
日本株が脱亜入欧を果たす
ダブルインバースの燃料が積み上がる
この記事は投資行動を推奨するものではありません。