
日本株と米株の指数数字を比べたTOPIX /S&P 500チャートで、アベノミクス以来勝ち続けてきた日本株が米国に追い付かれたという日経の記事が出ている。曰く、
「第2次安倍政権が発足した2012年12月26日を起点に、東証株価指数(TOPIX)の値動きを米S&P500種株価指数と比べてみよう。15年には一時、米国株を3割超上回っていたが、その後は勢いを失った。日本株がもたつく間、米国ではIT(情報技術)企業のイノベーションやトランプ大統領が踏み切った法人減税を背景に株高が進んでいる。
日本株の優位性は先月ついに消え去り、米国株に見劣りする水準に沈んだ。米国株の騰勢を前に「アベノミクスで日本株は世界から選ばれた」とは誇りにくい」という。

各論はそれらしく聞こえるが、円建ての日本株指数と米ドル建ての米株指数を比較するのは無意味な行為だ。この「差」の相当の部分はドル円である。ドル円が円安に動くと、米株が動かない場合日本株は上昇する。円高は逆だ。

各論はそれらしく聞こえるが、円建ての日本株指数と米ドル建ての米株指数を比較するのは無意味な行為だ。この「差」の相当の部分はドル円である。ドル円が円安に動くと、米株が動かない場合日本株は上昇する。円高は逆だ。

日経の記事の図によると2017年までは日本株の方が数字として勝っていたので、2012年〜2017年は米株をやめて日本株の方に投資していれば良かったかというと、もちろんそんなことはない。記事と同じTOPIXとS&P 500はインターネット中を探しても出てこなかったが、ドル建て日経(赤)とドル建てダウ平均(青)の比較は簡単に出てきた。円建ての場合は双方にドル円をかけるだけなので同じ相対位置となる。基準を揃えると日本株はアベノミクス後、コンスタントに米株に出遅れてきたのがわかる。アベノミクスが始まった瞬間こそ日本株の方が急に上がったものの、わずか1年後、2014年に入った途端に米株対比で大きく劣後し始めた。「アベノミクスで日本株が世界から選ばれた」時期は数ヶ月しかなかった。極め付けが2017〜2018年の大差である。今のようなキャッチアップ局面では日本株の面白さもあるが、長期的には、少なくとも指数的には日本株のパフォーマンスが米株に追い付いた局面は全て、米株への乗り換え時だろう。
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周回遅れのバブル後高値この記事は投資行動を推奨するものではありません。