
上図は米国の10年金利。下図は新興国株ETF「EEM」とS&P 500ETF「SPY」の相対比(EEM / SPY)である。秋にかけて景気絶好調の米国において利上げが永遠に続くと思われたので米国10年金利が上昇し、世界中の資金の高金利の米国に還流すると思われたため、新興国株が米株を大きくアンダーパフォームした。
ところが足元では、パウエル議長が11月中旬から利上げ見通しについて慎重な発言を続けた、特に28日の「中立金利まであと少し」発言により一転して米国債は買われ、米金利は激しい下落を見せた。新興国を置いてきぼりにした米国一強が続くと思われていたのが、所詮米国景気もその程度のものだったかと化けの皮が剥がれている。
米金利の低下及びそれが暗示する(と思われている)Fed利上げペースの鈍化は、足元でどんなにリスクオフでも反転しないと思われていたドル高トレンドの終焉にも繋がる可能性もある。利上げ停止とでもなれば再びドル安・新興国への資金流入に繋がるだろう。そう考えると、米金利を鏡に映したような推移を見せてきた新興国株も対米株のアウトパフォームが暗示されているのではないか。


前回の米国利上げ打ち止めは2006年後半であったが、2006年から07年にかけては壮大な新興国株バブルが到来した。原油高を受けたロシア株バブルは再現できなそうであるにしろ、今やすっかり死語になってしまったBRICs株は原油輸入国もまとめてアウトパフォームしていた。米金利カーブのフラットニングによるキャリーの消滅で資金は成長率が高い新興国に向かった。筆者は2019年中の利上げ打ち止めそのものにまだ懐疑的だが、特に足元の急激な米金利低下が正しいと考えるなら、新興国株のアウトパフォームはまだ十分に追い付いていないように見える。我々の中でもまだ新興国株へのアレルギーが残っているだろう。残っている間は相対的にアップサイドがあるのではないか。
Emerging Market Stocks Lead The Rally (2009)
米株の一人勝ちが止まりつつある


前回の米国利上げ打ち止めは2006年後半であったが、2006年から07年にかけては壮大な新興国株バブルが到来した。原油高を受けたロシア株バブルは再現できなそうであるにしろ、今やすっかり死語になってしまったBRICs株は原油輸入国もまとめてアウトパフォームしていた。米金利カーブのフラットニングによるキャリーの消滅で資金は成長率が高い新興国に向かった。筆者は2019年中の利上げ打ち止めそのものにまだ懐疑的だが、特に足元の急激な米金利低下が正しいと考えるなら、新興国株のアウトパフォームはまだ十分に追い付いていないように見える。我々の中でもまだ新興国株へのアレルギーが残っているだろう。残っている間は相対的にアップサイドがあるのではないか。
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