EMBEMB-HYG
 S&P 500の惨状に対してBRICs諸国の株式指数はドル建て秋の安値を更新していないと取り上げたが、債券でも同じである。足元の北米ハイイールド債のクラッシュが話題になる中、高利回りドル債仲間である新興国ドル建て国債ETF「EMB」はほぼ無傷であり、ハイイールド債ETF「HYG」対比のアウトパフォームが際立っている。
 
 元々ゴールドマンの2018年七大予想の中で「北米ハイイールド債より新興国ドル建て債を選好」というものがあった。実際2018年の大半は金利高ドル高で推移し、アルゼンチンやトルコなどの通貨が急落し、とどめに貿易戦争と来たため、新興国周りはタッチしてはいけないものになってしまった。米株の一人勝ちと共にEMBもHYGを大きくアンダーパフォームした。ところが冬になって米株の一人勝ちが急速に巻き戻されるに連れて、新興国株、新興国債券が共にアンダーパフォームから回復しつつある。全戻しまではまだ距離があるが、ゴールドマンの予想は「穴があったら入りたいレベルの大外し」から「特に当たらなかった」くらいまでは浮上するかもしれない。
TNX
EMB HYG
 新興国周りを決めるのは結局Fedの金融政策だろう。今ちょうどもめているが、Fedが金融政策を緩めるとなれば新興国アセットのアウトパフォームは更に続く可能性が高い。新興国のアンダーパフォームシナリオは「引き締め&米株が再び一人勝ち」の組み合わせであるが、今この瞬間ではあまり期待を持てなさそうだ。

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