China Fixed Asset
 11月分まで出揃った中国の固定資産投資も低調な結果となっている。足元では持ち直しの傾向となっているが、秋までの落ち込みがあまりにも大きかった。落ち込みは明らかにデレバレッジによる景気下押し効果と、中央政府の財政引き締め+シャドーバンク引き締めによる地方政府ファンディングの引き締めの組み合わせによるインフラ投資の落ち込みによるものだ。
 

製造業の固定資産投資は堅調

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 ところで、この固定資産投資の内訳で言うとまだ11月の記事で引用したFTのチャートの傾向が続いている。製造業の固定資産投資は春以降一貫して伸びている。全体の足を引っ張ったのはあくまでもインフラ投資である。つまり、当局がデレバレッジで足を引っ張っている一方で、当局が足を引っ張っているにもかかわらず「気」という意味での景気は悪くないということである。
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 FTのチャートに色々付け加えた形の華泰証券レポートによると、 製造業固定資産投資において民間製造業による投資の割合は9割近くを占める。従って民間企業の製造業固定資産投資がほとんど製造業固定資産投資そのものだ。国営企業より財務が健全(慢性的にお金を借りられないのだから健全で当たり前)であるのにもかかわらず負債の重い国営企業をターゲットにしていたはずのデレバレッジ運動の被害を一身に引き受けた中国の民間企業のアニマルスピリットがほとんど損なわれていないのは賞賛に値する。伸びている分野は主に電子機器、金属、化学と、政府主導のインフラ投資とはあまり関係ない。

弱い他の指標

Industrial Production
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 一方、鉱工業生産と工業利益は落ち込みが続いており、本日発表の製造業PMIも含めて周辺指標は良くない。一応設備投資が終わってから生産が始まるまではタイムラグがあるので固定資産投資の方が先行指標ということになっているが、果たして。

 2018年の固定資産投資はインフラが激減し、それを堅調な民間製造業と意外と堅調な不動産投資が一部カバーした形となった。金融市場に害だけを撒き散らしたデレバレッジ運動が一巡する一方、住宅価格の高騰が消費に明らかな悪影響を与えているので、不動産投資は徐々に引き締めの最大のターゲットに変わっていく可能性があり、不動産投資は2019年には盛り下がって来る可能性がある。一方、インフラ投資は財政拡大で公式GDP成長程度までは再開される可能性がある。これら二つが打ち消し合う形になるだろう。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。