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 中国が(中国株の値動きを見ると朝から漏れていたようにも見えるが)サプライズで100bpの預金準備率引下げ(RRR cut)を行った。預金準備率とは何かについては前回の時の記事の繰り返しとなる。ポイントは「ありがたいのはRRR Cut > OMO > MLF」というところだ。10月の15.5%→14.5%の引下げ(大手行ベース)では7500億元の流動性が放出されたと見られるが、今回の14.5%→13.5%の引下げでも7000億元(約10兆円)の流動性拡大を意味する。

 先月の中央経済工作会議では金融緩和を前面に出さず、市場参加者の金融緩和への期待をトークダウンした後なだけあって、上海株も香港株もアップルショックに見舞われた米株を横目に大幅な逆行高を演じた。特に割りと金利が高いMLFを減らして準備率引下げでカバーしたのは好感されやすい。

    タイミングとしては旧正月前の流動性確保という形となる。減速が深刻になったからと言うのもあるだろうが、やはりFedの利上げが止まりそうと見たのが背景ではないだろうか。今なら金融緩和を打ち込んでもFedの方も揺らいでいるので米中金融政策格差が目立たず、人民元相場に悪影響を与えない。今までも上海株の下落トレンドと共に準備率を切り下げて来た形となっており、毎回トレンド転換までは効果を持たなかったが、これで「Fedの利上げ停止から新興国が金融政策の自由度を取り戻す」、さらに言うと「金利市場が一人織り込んでいるFedの利上げ停止からパニックだけでなく緩和的側面を思い出す」という連想のきっかけになれるかどうか。

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