China PPI Caixin
 中国の生産者物価(PPI)は目を覆いたくなるような急低下が続いている。中国PPIはチャイナショック(2015年夏)前から当時の中国の不景気さを表現してきた優秀な指標であり、中国財新製造業PMIや米国PPIなどともよく連動している。2016年冬頃からは当局の金融緩和・不動産バブルで急上昇に転じ、2017年の世界景気・株式の予想外の盛り上がりを支えた。そして2017年後半からはデレバレッジ運動を受けて停滞し、2018年に入ってからは下落を加速させた。それが急低下を見せていることは中国の景気の悪化が加速していることを示唆している。財新製造業PMIは一足先に急落している(目を凝らすと全期間にわたってPMIがやや先行してきたように見えなくもない)。
 
China PPI US PPI
 US 10 year breakeven
 上図は中国と米国のPPI。これも2018年は米国の方がやや堅調だったというのが読み取れるが全体的にはよく連動している。貿易戦争でデカップリングしない限り、米国PPIも低迷しそうに見える。下図は米国の10年ブレークイーブン(10年名目債金利と10年TIPS金利が表現するインフレ期待)。こちらも「より米国PPIに似ている」ものの、中期的には中国PPIと概ね似たような推移を辿ってきた。もっとも、こちらも目を凝らして見るとブレークイーブンの方が先行してきたように見えなくもない。基本的にPPIは他の指標対比で先行性がある訳ではないが、サイクルの息は長いので大局観には役立つだろう。
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 PPIの要素ごとの前月比(左図)で見ると原油安のインパクトが大きかった。チャイナショック以降CPIは安定しているので、CPIとの差(右図)の動きはPPIそのものに近い。

この記事は投資行動を推奨するものではありません。