昨年10月の下落開始以来、長らくS&P 500のレジスタンスとして君臨してきた2817のレジスタンスがついに、静かにブレイクされてしまった。これにより2017年からのヘッドアンドショルダーは右肩ブレイクで消滅し、「安値の2350より先に高値の2940を先に付ける」のが教科書的なシナリオとなる。
参加者の声は全く盛り上がりに欠けており、一方でチャートは綺麗に2817を意識していたのが興味深い。底からのカムバック局面で1度は2817に完璧に弾かれていた。3/8の記事では「調整もないまま2817をスルーするとやりづらかったところだが、一回調整して2817を万人に意識させた以上は、何かの拍子で再び2817を上に抜けたらまた付いて行けばよく、下げたところでは慎重に拾い直せば良い気がする」としていたが、2700近辺までは「拾い直せる」調整があった。そして再び2817がブレイクされた。突破が祭りのようなリアクションだったとしたらきっと市場参加者のポジションが重いと推測できるが、特に待ち望んでいた雰囲気でもないようなので、「2817突破を待ち望んでいた多数の参加者が押すな押すなとなる」可能性は低いだろう。より細かくダウ理論で刻むなら先週押し目の2720付近もサポートとなる。
足元の米株の上昇は誰も今更聞きたくない言葉だろうが「ゴルディロック」に尽きる。景気指標は全て悪いが、それゆえにFed利上げが止まり米金利が完璧に安定している。株が景気指標の先(要するに中国の景気刺激策が効いて数ヶ月後に世界中の景気指標も回復。2016年パターン)を見通していると思えば正当化されるし、そうでなければ今は同じく「サブプライムショック炸裂後でファンダメンタルズは怪しいがFedの利下げでS&P 500が一度だけ新高値を取った」2007年後半パターンということになる。
昨年年末の記事からの流用となるが、奇しくも2016年も前年2015年のチャイナショックで同じ1年かけて作った巨大なヘッドアンドショルダーをブレイクしている。チャートの相似はファンダメンタルズの相似、だろうか。もっとも2016年も二度と下で買い戻せる場面がなかったのかというとそんなこともないし、「見てきた下値と比べるとあまりにもオッズが悪くなっている」というのも変わっておらず、上でドタバタしたくないのも事実。ただ押し目が来たら果敢に押し目買いしたいというのは前から変わらない。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。