週末に反発を見せた中国の公式製造業がPMIは政府発表なので信用ならない、と考えていた市場参加者の希望は1日で打ち砕かれた。財新製造業PMIも2ヶ月連続の改善を見せたのである。本ブログなどは石炭消費量やショベルカー売上まで引っ張り出したので財新PMIが堅調なのは当たり前だったが、改めて反応を強いられた参加者もいただろう。もしかしたら本日発表の財新サービス業PMIを待ってコンポジットPMIを確認して初めて動ける参加者もいたかもしれない。そのスピード感は株では許されないだろうから、いるとすれば債券投資家である。
そして月曜夜に発表された米国製造業ISMも、先行指標のフィリーや連動性が高い中国PMIと一致する形で改善を見せた。ここまではちゃんと予習をしていればノーサプライズであったはずだ。
とはいえISMの反発はそこまでではない。また欧州の景況感だけはピクリとも改善しない。中国の反発と欧州のイケてなさの結果、新興国(EM)の製造業PMIは久方ぶりに先進国(DM)の製造業PMIを逆転した。
米中指標の改善を見て米長期金利は慎重な反発を見せた。もっとも納得できないままアンダーウェイトでここまで持っていかれた参加者もいるだろうからすぐに上昇トレンドに復帰するとは思われない。パウエル議長はすっかりトランプの従僕に成り下がっているので、根拠がなくなっても利下げ警戒はなくならないだろう。
パウエル議長以下Fedメンバーは政権を恐れて共に沈黙に入っているが、ボードの外にいるウォッチャー達は早速「成長加速と緩和的な金融環境」の組み合わせが資産バブルを招くリスクについて再び語り始めている。シカゴ連銀のFinancial Condition Index(金融ストレス指数)は「1994年以来の最低値」にある。政権による高圧が高圧経済を生みつつあるようだ。映画ならS&P 500が史上最高値を更新したあたりでパウエル議長が圧力を振り切って正気に戻るのだが、現実ではどうだろうか。
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