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 上海株バブルが止まらない。指数は2月の急騰を経て、3月中は「本土系大手証券が引っ掛けた冷水」もあって保ち合い調整となったが、4月に入るとそれをも上にブレイクして棒上げが続いている。3000を突破したと思えば3100, 3200とあっさり抜けている。(1月の中国新規社会融資総額ブーストを取り上げた本ブログはともかく)世間がまだ中国景気の悪化を話題にしていた時から上海株は暴騰を始め、公式と財新双方の3月の良いPMIを見てもセル・ザ・ファクトの利食い売りに押されず続伸している。

新規口座開設数が爆増

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 深圳証券取引所の口座開設数は3月になって急増している。中国証券登記結算有限責任公司は週ごとの全国新規投資家数を公表していたが、これはなぜか2/22で止まっている。これが今まで深圳の口座開設数の7割程度で推移していたため(深圳⊂全国なはずなのでどうしてかは分からない。口座を開設するだけして投資しない人がいるらしい)、新規投資家数は3月におよそ200万人増えたことであろうと推測できる。2/22時点で投資家総数は1.48億人であったため、3月末には1.5億人の大台に乗っていることだろう。
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 なお、チャイナショック前に株式バブルが崩壊した2015年6月では新規投資家が463万人に達している。この新規口座開設ペースはバブルの進行度を見積もる一つの手掛かりとなるだろう。

 個人投資家の株ブームを改めて煽ったのは3/20に発表された、足元の上海株バブルを改革・開放政策が始まって8回目となる庶民による一攫千金の機会とする海通証券研究所の姜超チーフエコノミストの長文レポートである。前の7回は「1977年の大学入試復活、1980年代の郷鎮企業設立、1980年代の国営企業からの横流し転売、1992年からの起業ブーム、2000年代のWTO加盟〜資源バブル、リーマンショック後の不動産バブル、2010年代のテックバブル」とのことであった。

信用取引融資残高

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 こちらはやはり深圳証券取引所の、月ごとの信用融資残高である。下落で減り続けたのが2月から増加に転じている。数字だけだが、上海を足した全国の信用融資残高は以下のウェブサイトから入手できる。チャイナショックでは融資を受けて信用取引をしていた投資家が暴落で押すな押すなとなった。当局はこれがトラウマになっているはずなので、今回も信用取引を厳しく取締ろうとしているはずだ。この信用残高は概ね3日間で100億元増えているため、このペースが続けば4月末には残高が1兆元に達するはずだ。大台に乗ってニュースになる頃には何らかの取締り措置があってもおかしくない。
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 2015/6のクラッシュでは2兆3千億元あった信用残高がものの一ヶ月で1兆4千億元まで切らされた。一方それからは業者による信用供与は厳しく取り締まられたため、前回2018年2月の天井でもせいぜい1兆元あった程度である。逆に言うと1兆元までは余力があるかもしれないし、そういえば水準も2月天井まで10%残っている。

バリュエーション

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 相対的なバリュエーションでは、H株対比のプレミアムは+25%程度と、2015年バブルの天井からはまだ距離があるが、2018年の天井の手前である。対米株の相対数字では2018年の高値までやはり10%程度ある。米株次第でもあるが、チキンレースを堂々と走っているようだ。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。